
子宮頸がんワクチンは、子宮頸がんの主な原因となるHPV感染を予防するワクチンです。HPV感染を防ぐには、ワクチン接種が重要になります。そこで今回は、子宮頸がんワクチンの対象年齢や接種回数、副作用への不安を正しく理解できるように、わかりやすく解説します。
子宮頸がんワクチンとは
子宮頸がんワクチンとは、子宮頸がんの主な原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染を予防するためのワクチンです。HPVとは、性経験のある人の多くが、一生のうちに一度は感染するとされるウイルスの一種です。
多くの場合、HPVに感染しても自然に排除されますが、一部では感染が長期間続き、子宮頸がんの原因になることがあります。そのため、子宮頸がんはHPV感染と深く関係している病気とされています。
HPVワクチンを接種することで、子宮頸がんの原因になりやすいHPV型への感染を予防できます。現在、公費接種で使用されている9価ワクチン(シルガード9)は、子宮頸がんの原因となる複数のHPV型を幅広くカバーしており、高い予防効果が期待されています。ただし、すべての子宮頸がんを完全に防げるわけではないため、ワクチン接種後も定期的な子宮頸がん検診が重要です。
また、HPVワクチンは若いうちの接種が推奨されています。これは、HPVへ感染する前に接種することで、より高い予防効果が期待できるためです。
さらに、HPVは男性にも感染するウイルスです。男性がワクチンを接種することで、尖圭コンジローマや肛門がん、中咽頭がんなどの予防につながる可能性があるとされています。
子宮頸がんワクチンの対象年齢と接種時期
子宮頸がんワクチンは、定期接種の対象年齢内に受ければ公費負担で接種できます。対象年齢を過ぎると任意接種となるため、早めに確認することが大切です。
定期接種の対象年齢
子宮頸がんワクチンの定期接種対象は、小学校6年生から高校1年生相当の女子です。対象年齢の間に接種することで、公費負担により接種を受けられます。HPVは性的接触によって感染するため、感染前の若い年代で接種することで、高い予防効果が期待されています。
また、最近では東京都内を中心に、小学校6年生から高校1年生相当の男子を対象に、接種費用の助成を行う自治体も増えています。今後は、男子への接種費用を助成する自治体も増えていくと考えられます。
公費(無料)で接種できる期間
子宮頸がんワクチンは、定期接種の対象年齢内であれば、原則として公費負担により無料で接種できます。対象期間中に決められた回数を接種することで、費用負担を抑えながら予防ができます。
ただし、自治体によって接種方法や案内時期、実施医療機関が異なる場合があります。接種券の発送時期や予約方法も地域によって違うため、住んでいる自治体のホームページや通知を事前に確認しておくことが大切です。
対象年齢を過ぎた場合の対応
定期接種の対象年齢を過ぎた場合は、原則として任意接種となり、接種費用は自己負担です。ワクチンの種類によって費用は異なりますが、複数回接種が必要になるため、一定の費用負担が発生します。
ただし、対象年齢を過ぎたからといって、接種の意味がなくなるわけではありません。年齢やこれまでの感染状況によっては、予防効果が期待できる場合もあります。接種を検討する際は、効果や必要性を理解したうえで、医師と相談しながら判断することが大切です。
子宮頸がんワクチンの接種回数
子宮頸がんワクチンは、年齢や接種開始時期によって接種回数が変わります。2026年4月から公費で接種できる9価ワクチンは、一定の間隔をあけて2回または3回接種します。15歳未満で接種を開始する場合は、条件を満たせば2回接種で完了です。
15歳以上で接種を開始する場合は、基本的に3回接種となります。接種間隔を誤ると追加接種が必要になる場合があるため、医療機関でスケジュールを確認してください。
子宮頸がんワクチンの副作用について
子宮頸がんワクチンには、ほかのワクチンと同じように副作用が起こる可能性があります。代表的なものは、接種部位の痛みや腫れ、赤み、発熱、頭痛、倦怠感などです。多くは一時的な症状で、数日以内に改善するケースが一般的です。
一方で、過去には報道などで、広範な痛み、けいれん、歩行障害、不随意運動などとワクチンとの関連を疑う事例が取り上げられたこともありました。これらの症状については、現在もさまざまな研究や調査が行われていますが、専門家による評価では、「接種との因果関係を疑う根拠に乏しい」とされるケースも報告されています。
ただし、副作用への不安を軽視してよいわけではありません。接種後に強い体調不良が続く場合や、不安な症状がある場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。
次に、実際によくみられる副作用と、まれに起こる重い副作用について解説します。
よくある副作用
どのようなワクチンでも、副作用がまったくないものはありません。子宮頸がんワクチンで比較的よくみられる副作用は、注射部位の痛み、腫れ、赤み、かゆみ、発熱、頭痛、めまい、倦怠感などです。
接種時の緊張や痛みによって、気分が悪くなる、立ちくらみが起こることもあります。接種後はすぐに動き回らず、医療機関で一定時間様子を見ることが大切です。
まれに起こる副作用
まれに、強いアレルギー反応であるアナフィラキシーが起こります。呼吸が苦しい、じんましんが出る、顔色が悪い、意識がぼんやりするなどの症状が出た場合は、すぐに医療機関で対応を受ける必要があります。接種後に強い痛みや体調不良が続く場合も、我慢せずに相談してください。
子宮頸がんワクチンの接種ができないケース
子宮頸がんワクチンは、体調や病歴によって接種できない場合があります。明らかな発熱がある場合、重い急性疾患にかかっている場合、ワクチン成分で重いアレルギー反応を起こしたことがある場合は、接種を控える必要があります。
妊娠中の接種についても、医師に相談が必要です。持病がある人、過去にワクチン接種後に体調を崩した経験がある人は、問診時に必ず伝えてください。
子宮頸がんワクチンの接種を迷うときの考え方
子宮頸がんワクチンの接種を迷う場合は、まず子宮頸がんの主な原因がHPV感染であることを理解することが大切です。HPVは多くの人が一度は感染するとされるウイルスであり、一部の感染が長期間続くことで子宮頸がんにつながる可能性があります。
また、ワクチンによってすべての子宮頸がんを完全に防げるわけではありませんが、原因となりやすいHPV型への感染予防効果が期待されています。そのため、副作用への不安と将来の病気を予防できる可能性の両方を比較しながら考えることが重要です。
インターネット上にはさまざまな情報がありますが、不安をあおる内容だけで判断すると、正しい情報が分かりにくくなる場合があります。接種を迷ったときは、自治体の案内や公的機関の情報だけでなく、医療機関で医師の説明を受けながら判断してください。
子宮頸がんワクチンを接種する際に保護者が知っておくべきポイント
子宮頸がんワクチンは、小学校6年生から高校1年生相当が主な接種対象となるため、保護者の判断が大きく関わります。しかし、保護者だけで決めるのではなく、本人の気持ちや不安にも配慮しながら、一緒に考えることが大切です。
とくに、「副作用が心配」「注射が怖い」と感じる子どもも多いです。そのため、接種する目的や期待される予防効果、副作用として起こりうる症状について、年齢に合わせて分かりやすく説明し、納得したうえで接種を検討することが重要です。
子宮頸がんワクチンは、将来の健康を守る予防医療の一つです。インターネットやSNSの情報だけに偏るのではなく、公的機関や医療機関の説明も参考にしながら、親子で正しい情報を共有し、冷静に判断してください。
子宮頸がんワクチンに関するよくある質問
子宮頸がんワクチンについて、よくある疑問をご案内します。
子宮頸がんワクチンは痛い?
子宮頸がんワクチンの効果は何年続く?
まとめ|子宮頸がんワクチンは迷ったら早めに医療機関へ相談を
子宮頸がんワクチンは、子宮頸がんの主な原因となるHPV感染を予防するためのワクチンです。定期接種の対象年齢であれば、公費負担により接種できます。接種回数は年齢や接種開始時期によって異なるため、医療機関で確認してください。
副作用が不安な場合も、自己判断で接種を避けるのではなく、正しい情報をもとに考えることが大切です。不安が残る場合や、自分が接種対象か分からない場合は、早めに医療機関へ相談してください。
吉岡医院では、婦人科診療の中で子宮頸がんワクチンに関する相談が可能です。接種を迷っている方や、保護者として判断に悩んでいる方は、まずは医師へご相談ください。




