京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

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大腸カメラを受けると、大腸がんが減る?

2012年3月1日

今回は、大腸カメラと大腸がんの関係について、
いくつか面白いデータがあるのでご紹介します。

ご存知の方も多いかも知れませんが、
大腸がんの死亡率は、
男性では肺がん、胃がんに次ぎ第3位、
女性ではトップです。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2158.html

しかも、日本では死亡率が増加しています。
胃がんの死亡率が低下しているのとは対照的で、
最も注意しなければならないがんの一つです。

アメリカではこの10年間で、大腸がんの死亡率を
30%減少させたとのことです。
検診で大腸カメラを受ける頻度が高いからだそうです。

ここからいろいろなデータをお示しします。

1回大腸カメラを受け、見つかったポリープを切除すれば、
検査をしなかった場合と比べると、
将来の大腸がんの発生を5-7割ほど抑制できるそうです。

また、大腸カメラを1度でも受けた方は受けなかった方に比べ、
進行がんの発生が30%低かったというデータがあるそうです。

つまり、大腸カメラを1度でも受けておけば、
将来発生する大腸がんを予防することにつながるのです。
すごいことだと思いませんか?

便潜血検査の結果大腸カメラを受けるという流れがありますが、
本当のところ、便潜血関係なしに一度は大腸カメラを
受けておく方がいいとのことです。

50歳を越えれば、一度は大腸カメラを受けたほうがいいようです。
それにより、将来の大腸がんの発生が抑えられるのであれば、
1日ぐらい検査に費やす意味は大きいと思います。

また、検診の場合、アメリカでは1回の大腸カメラにかかる費用は
なんと16万円だそうです。
その点日本では2万円で受けられます。
症状がある方は保険で受けられ、3割までの負担ですみます。

欧米に比べると格安で検査が受けられうえ、
オリンパスやフジフイルムといった、世界的な企業があるのに、
私たち内視鏡を行う医師としてとても残念なことですが、
日本では欧米のように大腸がん抑制に成功していません。

日本では通常大腸カメラは麻酔をせずに行います。
そのため、人によっては痛みを伴うこともあります。
日本では有効な麻酔薬は安全性の面から保険適応ではありません。
そのため、検査を受ける方が限られているのではと考えています。

逆に欧米では非常に深い麻酔をかけたうえで行います。
検査が終わっても覚醒しないので、
家族が車に乗せて連れて帰るそうです。
欧米の大腸カメラは痛くて麻酔なしではできないそうです。

日本の内視鏡検査の技術は、
世界でも高いと言われています。

今後、大腸カメラをより楽に受けていただくこと、
いかに効率よく定期検査をするかということが課題です。
それがうまくいけば、日本でも大腸がんが減少するはずです。

では、どれくらいの頻度で検査を受けるのがいいのでしょうか?

実は大腸カメラは見落としの多い検査と言われています。
6mm以下のポリープは約20%に見逃しがあり、
10mm以上のポリープや進行がんでも2-12%で見逃すとのことです。

それなので1度受けても、十分でない可能性があります。

そこで、検査を受ける間隔ですが、
まず初回受けてから、1年後にもう一度チェックします。
その2回の検査でポリープがあれば、また翌年、
ポリープが無ければ3年後でいいのではないかと言われています。

結論として、統計の上でのことですが、
大腸カメラを1回、2回と受けると、受けなかった方に比べ、
大腸がんのリスクを約半分に減らすことが可能だそうです。

50歳を過ぎたら、1度は大腸検査を受けておきましょう。

また、怖いことに、
検査をする医師側のスキルでも差が出ることがいわれています!

検査の件数の20%以上にポリープを発見する医師、
つまり、非常に良く大腸を観察する医師に検査を受けた時と
ポリープの発見率が20%以下の医師に検査を受けた時では、
検査から10年後のがんの発生率に差が出るというのです。

これは大きな問題です!

私も、当院で行った内視鏡検査をも一度見直し、
自分自身がどれくらいのポリープ発見率なのか調べてみようと思います。
その結果は次回のブログまでの宿題とさせていいただきます。


この内容は、2月25日の京都府医師会主催の
消化器がん検診の講演会で聞いたものです。
細かい数字や、根拠となる文献をお示しできず、
間違っておりました際はご容赦ください。

ちょっと堅苦しい、わかりにくい内容で恐縮ですが、
大腸がんに対する大腸カメラの重要性が伝われば幸いです。