京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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認知症の対応はお早めに -その1-

2013年11月6日

11月に入り、だんだん寒くなってきましたね。
私も早朝自宅から医院へ向かう自転車では、
手袋をするようになりました。

年賀状の販売も始まり、
何となく気忙しいこの季節、
皆様はいかがお過ごしでしょうか?

今日は認知症のお話です。

現在65歳の10人に1人は罹患しているといわれています。
認知症はごくありふれた病気で、
年齢が上がるとともにその割合は増加します。

90歳を超えると認知症の方が多数派になります。
従って90歳にもなって認知症がなければ、
肩身の狭いおもいをする(?)らしいです。

長生きするといろいろ気を使います。

ところで、
認知症にはタイプがあるのをご存知ですか?

一番よく知られているのは、
アルツハイマー型認知症で患者さんが最も多く、
その次は血管性認知症です。

アルツハイマー型と脳血管性認知症の二つで、
認知症全体の8割ぐらいを占めるといわれています。

アルツハイマー型認知症の原因は、
脳にβアミロイドという物質が蓄積することで、
神経細胞が死滅するためとされています。

脳血管性認知症は、
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの
脳血管障害によっておこる認知症です。

原因が全く異なるのですね。
そのため症状や経過も、
両者には違いがあります。

アルツハイマー型の方が何となく楽天的、
脳血管性認知症はどちらかというと怒りっぽく、
悲観的な雰囲気が漂います。

そのほかの認知症には、
レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、
大脳皮質基底核認知症などがあります。

また、甲状腺機能低下症やうつ病、
頭を打った後に起こる慢性硬膜外血腫など、
別の病気に伴って起こる認知症もあります。

この場合は元の病気の治療をすれば、
認知症が改善する可能性があります。

さて、この先は、
最も患者数の多いアルツハイマー型認知症について、
考えてみようと思います。

アルツハイマー病の初期は、
本当に些細な出来事から始まるようです。

たとえば・・・
料理の道具を前回どこにしまったか思い出せない、
とか、

大好きだった本がここ数年の間、
読み進むのに時間がかかるようになり、
疲れてしまうようになったなど、
誰でも時々はあるようなことです。

また、講演会の仕事をされている方では、
内容を理解して覚えることに時間がかかってしまう、
このようなことも兆候としてあるそうです。

 

そのような些細な症状でも頭のMRI検査を行うと、
アルツハイマーの初期にに見られる変化を
とらえることができるとのことです。

些細な認知症の症状による変化を、
画像でとらえることができるなんて、
医療機器の進歩にはいちいち驚かされます。

そしてそのようなちょっとした症状の認知症にも、
治療を開始して1か月後には、
以前のようにしんどくなくなったということがあるそうです。

認知症の治療は開始が早ければ早い方が、
その後の効果が長く続くとのことです。
下の図をご覧ください。

ちょっと見にくくて申し訳ありません。

アリセプトというのはアルツハイマーのお薬ですが、
より早く治療を開始した方が、
その後の認知症の悪化を防ぐということを示しています。

かなり悪くなってから始めても、
一瞬は効果が表れるのですが、
結局は元と同じ勢いで病状が悪化して行くそうです。

 

残念ながら今のところアルツハイマー型認知症を、
完全に正常化する治療は存在しません。
そのためいかに進行を緩やかにするかが、
治療目標となります。

たとえ認知症があっても症状が軽ければ、
何とか自分で生活していけます。
しかし重度の認知症になると、
とても一人では生きていけず、
いろいろな援助やサービスが必要になります。

老後の一番の心配は、
介護が必要になるかということです。
だれもが健康で長生きし、
介護は受けたくないと思っています。

 

「ぴんぴんころり」、略して「PPK」といいますが、
これを目指すためには、いかに早期の段階で、
認知症の治療を開始するかということになります。

少し長くなりましたが、今回はここまでにして、
次回は、
認知症の治療薬について少しお話いたします。