京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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「タケキャブ」で難治のピロリ菌除菌を行いました

2016年3月7日

だいぶ暖かい日が多くなってきました。
早朝と日中の寒暖差が激しく、
どんな上着を着ればいいのか悩みます。

インフルエンザは、
ようやくピークから、
やや減少に転じたところでしょうか。

本格的な春が待ち遠しい、
今日この頃です。


さて今回は、
「タケキャブ」という胃薬を使って、
ピロリ菌の再除菌を試みたお話です。

先日胃カメラを希望されてこられた方が、
ピロリ菌陽性で過去に2回除菌を行ったが消えず、
どうすればいいかと尋ねられました。

ピロリ菌除菌は、1回目の1次除菌、
それで除菌できなかった場合は、
2回目の2次除菌まで保険で認められています。

 

1次除菌と2次除菌の違いは、
使用する抗生剤が変わるだけなのですが、
多くの方は2次除菌までで除菌できます。

もし2次除菌で消えなかったか場合は、
今のところ保険診療での除菌はできません。
3次除菌は使う薬がまだ決まっていなのです。

そのため大学病院などの研究機関で、
自費診療の範囲で行われており、
当院では3次除菌は扱っておりません。

その患者様に対しては、
胃カメラの時にピロリ菌を調べたのですが、
やはりピロリ菌陽性でした。

3次除菌の相談を受けましたが、
当院ではできないとお答えしました。

しかし、
除菌をされた時期をお聞きすると、
数年前であることがわかりました。

ピロリ菌除菌については、約1年前に、
「タケキャブ」という胃酸抑制剤が発売され、
除菌率が大幅に改善しました。

使用する抗生剤は一緒なのですが、
併用する胃酸抑制剤の効果が、
圧倒的に高くなったのです。

胃の中には「胃酸」があり、
通常は強い酸性下に置かれています。
そして抗生剤は酸性下では効果が減少します。

つまりこの「タケキャブ」という胃薬が出て、
胃の中の酸性の度合いが弱まったため、
抗生剤の効果が高まり、
ピロリ菌除菌の成功率も大幅に上昇したのです。

 

そこで今回の患者様には、
タケキャブを併用した新しい方法で、
もう一度1次除菌から行ってはどうかと提案しました。

本当は除菌率の高い2次除菌をすればいいのですが、
研究でピロリ菌の菌数が少ないほど、
除菌の成功率が上がることが示唆されています。

それなので、1次除菌でたとえ不成功となっても、
菌数を少しでも抑えたうえで2次除菌に臨めば、
除菌成功の可能性が上がると考えました。

 

注意が必要なのは、このケースでは、
過去に保険診療で除菌治療を行っているため、
今回は保険がきかず、自由診療になる点です。

患者様にはその点をご理解いただきました。

また、結局は前回失敗した同じ治療を、
胃薬を変えるだけでもう一度やるわけですから、
成功する可能性は未知数であると伝えてあります。

そして、

患者様の承諾を得て1次除菌治療を行いました。
念のため、使える武器はすべて動員とのことで、
「LG21」のヨーグルトも食べてもらいました(笑)

で、結果ですが・・・、
まず1次除菌は、
あえなく失敗に終わりました。

やはりそんなに簡単ではありませんでした。
でもそこは織り込み済みです。
勝負の2次除菌を引き続いて行いました。

そして、
その結果は・・・、
ピロリ菌陰性、除菌成功となりました!

こうして報告するくらいなので、
除菌成功したんだろうとお考えと思いますが、
私としては大変うれしい出来事でした。

患者様ももちろん喜ばれていましたが、
あんまり期待してもらっていないかったのか(笑)、
逆に驚いておられました。

 

以前の胃酸抑制剤では除菌できなかったのが、
「タケキャブ」を使用し除菌できたのです。
改めて効果の高さを実感いたしました。


今回のケースはやや実験的で、
安全性も含め、自費診療にもなりますので、
どなたでも行えるわけではないと思います。

ただ、
以前の方法で2度の除菌治療で、
除菌不成功に終わった方に対しては、

3次除菌が保険診療として確立されるまでの、
一時的な選択肢の一つとなる可能性が
あるのではないかと考えられました。

今回はたったお一人に行い、
たまたまうまくいっただけかもれません。
同じ結果が今後得られるとも限りません。

くれぐれも慎重に、
適応を十分検討したうえで、
行う必要があるかと思われます。