京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
診療時間 午前9時~/夜診17時~
婦人科は夜診なし
休診日 木・日・祝/土(午後)
※令和5年7月より木曜日は
 休診日となりました
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「西陣糖尿病カンファレンス」に参加して

2018年10月27日

10月も終盤にさしかかりました。

これから年末年始に向けて、
あっという間に日が過ぎそうで、
何となく焦ってしまいます。

インフルエンザは出ていませんが、
風邪に混じって肺炎の患者様が
少し増えてまいりました。

高熱の出る風邪症状は、
インフルエンザではなく
肺炎のこともあります。

皆様もこれからの季節、
ご注意くださいませ。

 

 

さて、
今日は糖尿病診療について、
近隣病院での新たな取り組みを、
ご紹介させていただきます。

 

当院は今出川浄福寺というところにありますが、
当院から西に約500m、
そこから北に約400m行くと、
「西陣病院」という病院があります。

当院から最寄りの中堅病院で、
とてもきれいな病院ですので、
当院の患者様も何か困ったときには、
よくご紹介し診ていただいています。

 

この病院のいいところは、
建物がきれいというだけではなく、
診てくださる先生方や看護師さん、
職員の方がとても親切で丁寧というところです。

 

私なんかが時々ふらっと訪ねた時でも、
地域連携室の方が
いろいろ案内してくださいます。

また患者様の救急搬送の帰り、
タクシーが捕まらず困っていた時にも、
通りすがりの先生に声をかけていただいたりと、
何かと皆さんの気配りがすごいんです。

 

もちろん医療技術も確かですし、
検査をお願いしても迅速に対応してくださります。

画像診断のレポートもとても素晴らしく、
これまでも何度も助けていただきました。

 

私の日常診療はこの病院に守られている、
と言っても過言ではありません。

 

また院長先生が大変素晴らしい先生です。

この先生もまた、
私が開業し初めてあいさつに伺った時には、
お忙しい中を院内中を案内してくださいました。

 

現在では地区医師会の理事会で、
毎月お顔を拝見するようになり、
とても親しくさせていただいております。

 

その院長先生が以前に、

「最近糖尿病の症例検討会を院内で開いているが、
地域の先生も参加してもらいたいと思っている。
これは私が長年やりたかったことだ。」

と話してくださったことがありました。

 

皆様ご存知のように、
糖尿病は今や日常的に遭遇する病気で、
私の医院にもかかっておられる方がおられます。

しかし患者様ごとに、病気の重さや、
生活習慣や体質など千差万別で、
治療は必ずしも皆が同じようには行きません。

 

中にはきっちりと診断ができていなかったり、
治療が思い通りに進まず病状が悪化したりと、
診療に苦慮することもよく経験されます。

 

全く手に負えない場合は、
病院に紹介し治療していただき、
治療が軌道に乗ったところで
また開業医のところに帰っていただきます。

ただ病院に紹介するほどではないのですが、
次の治療の一手をどう打つか判断に迷ったり、
一言専門家の意見を伺いたこともよくあります。

 

院長先生はそのような患者様を、
糖尿病専門家と共にディスカッションし、
皆で考え勉強しようということを
考えておられました。

 

院長先生は内科の先生ですが、
専門は私と同じ消化器内科で、
今でも自ら外来診療にあたっておられます。

その診療の中で自らの糖尿病の患者様で、
治療方針に悩むことがあると言われ、
かねてからこのような話し合いの場の構想を
持っておられたようです。

 

そうして始まったのが、
「西陣糖尿病カンファレンス」だそうです。

 

院長先生のような超ベテランの先生でも、
常に患者様にベストな治療を皆で検討し共有する、
その姿勢には本当に頭が下がります。

 

参加メンバーがまた豪華でして、
院内の糖尿病専門医の先生、専門看護師さん、
栄養士さん、そして院長先生のみならず、
府立医大の教授も参加されているそうです。

 

このような方々と、
開業医が集まり症例検討する、
こんな機会滅多にあることではありません。

 

幸い私にもお声をかけていただいたので、
当院の外来で診ておりました患者様のことを、
相談させていただくこととしました。

 

月曜日の2時から1時間の予定でしたので、
往診の準備をもって出かけました。

外から来れれている先生は、
私以外には3名おられました。
地域でも大御所の先生で緊張しました。

 

「吉岡先生、すまんのお~」
院長先生からお声がけいただき、
緊張がほぐれました。

「すまんのお~」の意味はよく分かりませんが、
「よく来たね~」という意味だと解釈して、
「お声がけ頂きありがとうございます」と
お礼を述べました。

 

その後教授の先生が来られました。

 

府立医大の糖尿病の教授先生は、
講演会で何度かお話を聴いたことがあるのですが、
穏やかで本当にさわやかな先生です。

この先生が教授をされているのですか?
と思うほど若々しく、
見た目もとてもスマートな先生です。

 

その先生が入ってこられるだけで、
地下の会議室に、
明かりが差し込んだように感じました。

「ま、眩しい」

私は開業医の先生を挟んで一つ隣に座っていましたが、
何か後光が凄すぎておそれ多く、
しばらくは横を向くことができませんでした。

 

やがて和やかな雰囲気で検討会は始まり、
私の症例検討の番になりました。

 

私の相談症例は本当に基礎的な内容でしたので、
「これはこうです」と即答され、
瞬殺されるかと思って心配しておりましたが、
とても丁寧に教えていただきました。

 

何か、メジャーリーガーに、
キャッチボールの仕方を
教わっているような感じでしたが、

この患者様は、
このような病態が考えらえるので、
この検査を行ってみてはどうでしょうか、

その結果診断がついた時には、
このお薬を使われてはどうでしょうかといった、
非常に具体的なアドバイスをいただきました。

 

何かモヤモヤが晴れ、
スッキリした気分になりました。

 

今回ご相談した当院の患者様に関しては、
通院は吉岡医院でありながら、
大学病院の教授の診療を受けたのと、
同じクオリティーになったのです。

一瞬だけのクオリティーですが、
これからにも繋がっていくと思われ、
本当にありがたいことだと思いました。

 

カンファレンスでは4つの症例を、
1時間少しで検討して終了となりました。

私のようなレベルのものにも、
丁寧かつ的確に教えていただき、
本当に貴重な体験でした。

私は院長先生のお礼を申し上げ、
出来れば次回も参加させてくださいとお願いし、
病院を後にし往診に向かいました。

 

 

翌日には医院に、
進行役の糖尿病の先生から参加お礼の手紙と、
私の症例の検討内容をまとめたのレジュメを
届けていただきました。

 

もうここまでやっていただくと、
逆に申し訳なく思ってしまいますが、
それだけどの先生も真剣に、
そして熱心に取り組んでおられるのに
感銘を受けました。

 

検討会はこれから月に1度の割合で
開催されるそうです。

日ごろ聞きたくてもなかなか聞けない疑問を、
少しづつ解決できると、
当院の医療レベルも少しづつ上がると思います。

 

西陣病院が我々開業医の期待に応えて下さる様に、
当院も皆様のご期待に少しでも応えられるよう、
これからも頑張りたいと思います。