京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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※令和5年7月より木曜日は
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大腸カメラを受けた方がいい3つの理由

2020年10月27日

インフルエンザの予防接種が、
本格的に始まりました。

当院では10月19日より
小児を含む全員の接種を開始しました。
そのため待合は少し混雑することがあります。

もし可能であれば来院前に
オンライン順番どりをご利用いただくなど、
混雑のタイミングを避けていただけると幸いです。

よろしくお願いいたします。

 

 

さて、
今日は大腸カメラのお話です。

大腸カメラ皆さんはどんなイメージですか?
痛い、しんどい、準備が大変など、
あまりいいイメージは無いと思います。

実際思われている通り準備も大変で、
検査の時に苦痛もあるかもしれません。

しかしずっと避けて通るわけにはいきません。

おなかの調子が悪い方、
健診で便潜血陽性を指摘された方、
痔だと思うけれど排便の際に出血のある方。

これらの方は大腸カメラを
一度は受けていただかなくてはなりません。

でも実際に受けようと思うと、
平日仕事を休むのか、ポリープもとるのかなど、
受けるまでのハードルが高いこともありますよね。

その結果、今は大したことないし、
また次の機会で考えるようにしようなど、
つい先延ばしにしてしまうこともあるかもしれません。

こういう方は
案外多いのではないでしょうか。
今は症状が軽いから受けなくても大丈夫と…。

でもやはり、
大腸カメラは積極的に
受けていただかなくてはなりません。

なぜなら大腸カメラを受けていただくと、
いくつかのいいことがあるからです。

私個人的に大腸カメラは、
受ける価値が高い検査だと思っています。

検査の負担は確かに少しあるかもしれませんが、
皆さんにはいい点もあることを
知って頂かなくてはなりません。

今回は私が考える大腸カメラのいい点をお伝えし、
皆様に積極的に受けていただくための
参考にしていただければと考えています。

 

まずどんな検査でもそうですが、
検査を受けて異常がなければ、
とても大きな安心を得ることができます。

病気(がん)かもしれない、と思いながら、
でも怖くて受けられないという場合、
普段から精神的な負担が生じます。

いつも何かの折に不安がよぎり、
気分が晴れないという方もおられるかもしれません。
そのままにしておくとさらに不安は増します。

ストレスや不安はそれ自身が
免疫力の低下につながり、
がんなどの病気を引き起こす可能性があります。

その不安から抜け出すには、
検査を受けていただくしかありません。
検査を受ければ悩みは解決します。

検査をして病気がなければ「なくて良かった」となり、
検査をしてもし病気が発見されれば、
それはそれで「検査をして良かった」ということになります。

そんなことなら大腸カメラに限らず、
いろんな検査でも同じことが言えるのではないか、
と思われるかもしれません。

確かにそれはそうです。

でも大腸カメラの場合は、
検査と同時に治療ができるかもしれないという
大きなメリットがあります。

これが私が大腸カメラをお勧めする
1つ目の理由です。

大腸ポリープは検査と同じタイミングで、
見つかったら治療がその場でできることがあります。

検査と同時に治療まで完了すれば、
忙しい方には大きな時間の節約にもなりますし、
コストパフォーマンスもいいと思います。

昔みたいにポリープをとると入院ということがなくなり、
多くは外来治療で行えるようになりました。

つまり検査を受けに来て帰るときには
治療も終わっているのです。

もちろん大きいポリープやがんの場合、
後日入院をして治療ということもよくありますが、
それでもポリープの多くは日帰りで行われます。

そして定期的に検査を受けポリープを切除すれば、
大腸がんになるリスクはかなり低減できます。

検査しながら大腸がんの予防もできる、
それが大腸カメラの大きなメリットです。

 

また病気が見つかるのが怖くて、
なかなか勇気が出ないという方も
おられるかもしれません。

何年も前から検査で異常を指摘されている、
また腹痛や血便などの自覚症状が続いているなど、
検査がだんだん受けにくくなる気持ちもわかります。

でも勇気をもって受けてていただきたいのです。
なぜなら大腸がんは他のがんと比べても、
治る可能性の高いがんであるからです。

このことが私が検査を勧める2つ目の理由です。

大腸がんは段階に応じて治療法が多く、
治る割合も高いがんということができます。

見つかっても治療できる見込みの少ない、
悪性度の高い癌であれば、
検査を受けるメリットは少なくなります。

例えば、
すい臓がんの場合を考えてみましょう。

すい臓がんは発見が難しく、
発見時には進行していることが多く、
その治療成績は他のがんと比べかなり劣ります。

下のグラフはすい臓がんの発見時のステージを
割合で示したものです。

 


(がんプラスWEBサイトより引用)

 

ほとんどの膵臓がんはステージ4で見つかっており、
ステージ1、2で見つかるのは5%ほどです。
また早期に発見されたとしても予後は良くないです。

下の表ををご覧ください。

 


(がん治療.comより引用)

 

幸い1期の早期発見ができたとしても、
5年生存率はたったの40%にすぎません。

一番多く見つかる4期では、
5年生存率は壊滅的な数字です。
恐らく生存期間は半年ぐらいだと思います。

このようながんは、
いくら早期に発見しようとしても難しく、
また治療法も手術以外有効な手段はありません。

すい臓がんの治療法です。

 


(膵癌治療ガイドラインより)

 

手術が唯一の有効な手段ですが、
手術になるケースは限られています。

このようながんはいくら検査を行っても
発見するのがまず難しく、
見つかっても治療成績が良くありません。

従って、
検査や治療の恩恵が少ないがんといえます。

 

一方大腸がんはどうかといいますと、
まず5年生存率を見てください。


(大腸がん情報サイトより引用)

 

ステージ1では91%、
ほとんどの方が治ります。
ステージ3でも77~60%となります。

すい臓がんステージ1の40%とは、
明らかに異なります。
それだけ大腸がんは治りやすいのです。

大腸がんの場合たとえステージ3でも、
5年生存率は70%前後で、
治癒する可能性が十分にあるといえます。

つまりステージ4でなければいいのです。

ステージ4はどのような状態かといいますと、
肺や肝臓、腹膜、遠くのリンパ節に転移がある、
最も進行した状態です。

大腸がんの場合遠隔臓器転移がなければ、
手術などで治癒する可能性があるのです。

大腸がんの治療法を
ステージ別に見てみましょう。

 


(大腸癌研究会編「大腸癌治療ガイドライン 2019年版」(金原出版)より)

 

少しごちゃごちゃして見にくいですが、
ステージO、1の軽い方では、
内視鏡治療があります。

ステージ1~3は
手術がメインとなっています。

つまりすい臓がんと異なり、
ステージ4以外では切除をすることにより、
治癒を得られる可能性が高いのです。

その中でもさらに、
体にメスを入れることもなく治療できる内視鏡治療が、
ごく早期の場合には治療法となります。

従って大腸がんの場合、
ポリープの段階も含めて発見が早ければ早いだけ、
負担の少ない治療法が選択できます。

また多少発見が遅れても、
ステージ4でなければ、
手術で助かる可能性があります。

このことを知れば、
大腸カメラを受けるメリットを
感じていただけると思います。

早ければ手術なしで治療できますし、
がんになる手前のポリープの段階でしたら、
入院無しの日帰り手術も可能です。

そしてたとえ進行がんで見つかっても、
体中に広がっていなければ、
治る可能性だってあるのです。

つまり放置または先延ばしにしている方も、
今からでも遅くありません。
大腸カメラを早めに受けてください。

そして万が一大きながんが見つかっても、
最悪手術を受けることができれば、
手遅れではありません。

そして早く検査をして早く見つけることができれば、
それだけ治療が簡単になります。

これが2つ目の理由です。
大腸がんは比較的治りやすいがんということです。

大腸カメラを受けるとがんやポリープは簡単に見つかります。
しかし受けなければ早期発見は難しいので、
やはり早くお受けになる方がいいのは間違いないと思います。

 

最後にもう一つお伝えいたします。

大腸がんはがんの中でもかかる人が多いがんです。
下の表をご覧ください。

 


(国立がん研究センターがん情報サービスより引用)

 

男性の3位、女性の2位、
男女合わせると1位になり、
非常にメジャーながんであることが分かります。

逆に言うと大腸がん検査をきちんとすれば、
一番頻度の高いがんを予防することができます。

もし大腸がんがかなり珍しい病気だとしたら、
大腸カメラを行う意味は少なくなります。

しかし大腸がんは最もなりやすいがんの一つです。

そして定期的に大腸カメラを行っていれば、
いきなり進行がんができることは極めてまれで、
大腸がんで命を落とすことはなくなるでしょう。

これが大腸カメラをお勧めする
3つ目の理由です。

 

胃カメラをして胃がんにならないようすることはできませんが、
大腸カメラをするることにより
大腸がんを予防することができるのです。

そして興味深いことに、
大腸カメラを受けた人の方が受けたことのない人に比べ、
生存率が高いことが論文で証明されています。

受けるだけで寿命を延ばすことができる、
こんな大きなメリットのある検査は、
大腸カメラ以外にはないと思われます。

 

【まとめ】
私が大腸カメラを受けた方がいいと考える
3つのポイントを挙げました。

① ポリープなどに対し検査と治療が同時にできる。

② 大腸がんは比較的治りやすいがんで、
早く発見できればそれだけ治療の負担が軽くなる。

③ 大腸がんは頻度の高いがんであり、
大腸カメラで予防するメリットが大きい。

 

今まで受けてこなかった方も、
症状がある方も、便潜血検査でひっかかている方も、
一度(早めに)お受けになることをお勧めいたします。

 

検査をして病気がなければ「なくて良かった」となり、
検査をしてもし病気が発見されれば、
それはそれで「検査をして良かった」ということになります。

 

ご参考になれば幸いです。

 

 

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