京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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保健所業務の逼迫と抗原検査キットの不足

2022年2月17日

2月中旬になり、
ようやくコロナの感染者数が、
頭打ちになりました。

しかし日々の診療では
それを感じさせな程の
発熱外来の混雑ぶりです。

今週の月曜日だけ見ると、
発熱外来を受診した23人のうち、
コロナ感染者と診断されたのは22人でした。

この中には疑似症(みなし陽性者)も
多く含まれています。

疑似症とは、
家族内で感染が広がった場合などで、
恐らくコロナ感染で間違いないだろうという場合は、
抗原検査やPCR検査で陽性を確認せずに、
医師がコロナ感染の診断をしても良いというものです。

(一応定義はありますが堅苦しいので割愛します)

医療機関にとっては、
一度に大勢の方の検体を採取し検査に出すのは大変なので、
この決定はある意味ではありがたいと思っております。

しかしながら、
どこまでを疑似症例として扱っていいのかやや曖昧で、
最終的には医師の総合的判断とされています。

中には軽い症状で疑似症と扱った濃厚接触者の方が、
療養期間中に本当の発症と思われる症状が出た時に、
どこを発症の起点として療養期間としてカウントするのか、
分からなくなることも出てきました。

検査をしていれば、
少なくとも根拠となる判定は出てきます。
疑似症にはそれがありません。

それならば、
その場でわかる簡便な抗原検査などを
すればいいのではないかと思われるかもしれません。

しかし現場では、
抗原検査キットが不足しており、
希望者全員に行うには程遠い状況です。

逆に言うと検査キットが不足しているため、
仕方なく疑似症(みなし陽性)が
認められた経緯があります。

 

そもそもこれまでは、
濃厚接触者や発症者の家族の対応は、
保健所が行っておりました。

従って医療機関に、
家族や職場の濃厚接触者が一気に押し寄せることは、
それ程多くありませんでした。

しかしオミクロン株感染者が急増した結果、
保健所の業務が追い付かなくなり、
保健所からの連絡のない感染者や濃厚接触者が、
医療機関を受診するようになりました。

感染者そのものが急増したということもありますが、
濃厚接触者や待機期間中の発症者も加わり、
発熱外来の受診者は一気に増えました。

医療機関としてはたくさんの検査を行うこととなり、
生産量の少なかった抗原検査キットなどは、
あっという間に供給不足となりました。

抗原検査キットと共にPCR検査の試薬もなくなりました。
せっかく行政の補助金で最近購入したPCRの機器も
試薬がないため自院で検査できないお粗末さです。

 

現在当院では比較的軽症で若い方には、
外注のPCR検査を行って、
翌日または2日後に結果をお伝えしています。

数の少ない抗原検査は、
高齢や基礎疾患のある重症化リスクのある方に
優先的に使用するようにしています。

その様な方にはラゲブリオという
コロナ感染症の新薬が使用できる可能性もあり、
その薬は発症から5日以内に開始しなければなりません。

そのため外注のPCR検査では、
投与開始のタイミングを逸してしまうこともあり、
できるだけその場で診断できるようにしています。

その抗原検査キットも、
高齢者の感染者の増加により、
当院でもなくなる寸前になっています。

これがなくなるとかなりの戦力ダウンです。
何とか節約し体制を維持しています。

 

保健所業務の逼迫と抗原検査キットの不足、
現在のオミクロン株との戦いにおいて、
最も顕著となった出来事と思います。

当院も2月あたまから、
当院で感染が確認された方とみなし陽性の方の
自宅療養のフォローアップを行っています。

療養解除となるまでの間、
症状に合わせて2日から3日おきに
電話で症状の聞き取りをおこなっています。

もともとは保健所が行っていた業務です。

 

またそれぞれの自宅待機日や解除日の設定は、
今までは保健所が連絡し行っていたのですが、
もうそれもできなくなってきました。

先日京都市から通達がありました。

「自宅療養者の療養期間及び濃厚接触者の待機期間について、
国が示す基準に達した方はご自身で判断いただくこととし、
京都市保健所から解除時の連絡は行わない」

とのことです。

患者さんご自身で判断することなどは困難ですので、
医療機関が患者さんに説明し設定しているのが
現状と思います。

 

今回はオミクロン株時代の医療現場の現状につき
簡単にご説明いたしました。

限られた資源を有効に使いながら、
過不足のない医療を心がけたいと思っております。

オミクロン株の感染者数も、
ようやくピークをこえつつありますが、
まだまだ毎日多くの感染者が出ています。

皆様もできる限り感染対策をなさって、
かからないようにお気を付けください。

 

吉岡医院  吉岡幹博