大腸がんは、日本人に増えているがんの一つです。早期の段階では自覚症状がほとんどない場合が多く、気づいたときには進行しているケースもあります。血便や便通異常が気になる方に向けて、大腸がんの基礎知識、症状、検査、治療について分かりやすく解説します。
目次
大腸がんとは
大腸がんとは、大腸の内側を覆う粘膜から発生する悪性腫瘍のことです。大腸は盲腸・結腸・直腸に分かれており、いずれの部位にもがんが生じる可能性があります。多くの場合、良性の大腸ポリープが長い時間をかけて徐々にがん化すると考えられています。
早期の段階では自覚症状がほとんどなく、検査によって偶然見つかるケースも多いです。早期発見ができれば治療成績が良好なため、定期的な検査が重要です。
大腸がんの主な症状
大腸がんの症状は、がんの進行度や発生する部位によって異なります。初期の段階では自覚できる症状がほとんどなく、日常生活に変化が出ない場合が多い点が特徴です。一方で、進行すると便の状態や排便習慣、体調面にさまざまな変化が現れるようになります。
早期のがんは無症状が多い
大腸がんの早期段階では、腹痛や下痢、便秘などの分かりやすい症状が現れないケースが多いです。食欲や体重にも変化がなく、体調不良を感じずに経過することもあります。
そのため、がんが存在していても気づかず、検査を受けた際に偶然発見されることもあります。この無症状の段階で見つけるためには、症状の有無にかかわらず定期的な検査が重要です。
進行すると血便などの便異常がみられる
大腸がんが進行すると、便に血が混じる血便や、便が細くなるといった便の性状変化がみられるようになります。また、下痢と便秘を繰り返す、排便後も便が残っている感じが続くなど、便通異常が現れる場合もあります。
さらに進行すると、腹部の違和感や痛み、体重減少、貧血による倦怠感などが加わることもあり、これらの症状が続く場合は早めの受診が大切です。
大腸がんの原因
大腸がんの発症には、生活習慣、年齢、体質、家族歴など複数の要因が関与しています。生活習慣の面では、脂肪分の多い食事や食物繊維の摂取不足が大腸内環境を乱し、発症リスクを高めるとされています。
加えて、運動不足による腸の働きの低下や肥満、喫煙、過度の飲酒も大腸がんとの関連が指摘されています。年齢も重要な要因であり、加齢とともに大腸粘膜の細胞がダメージを受けやすくなり、発症率は上昇します。
とくに、40歳以降は注意が必要です。また、家族に大腸がんを発症した人がいる場合、遺伝的に大腸ポリープができやすい体質を持つ方は、発症リスクが高くなる傾向があります。これらの要因が積み重なることで、大腸の粘膜に異常が生じ、がんへと進行する可能性が高まります。
大腸がんの検査・診断方法
大腸がんは、がん検診や医療機関で行われる検査によって発見・診断されます。初期の大腸がんは自覚症状がほとんどないため、症状の有無だけで判断することはできません。そのため、定期的な検診を受けることが早期発見につながります。
便潜血検査
便潜血検査は、便の中に混じった目に見えない微量の血液を検出する検査です。大腸がんや大腸ポリープがある場合、腸の表面からわずかな出血が起こることがあり、この血液を調べることで異常の可能性を見つけます。
検査方法は簡単で、数日分の便を採取して提出するだけで行えます。そのため、自治体のがん検診や職場の健康診断などで広く実施されています。自覚症状がない段階でも異常を発見できる点が大きな特徴です。
大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入し、大腸内部を直接観察する検査です。大腸の粘膜を目で確認できるため、便潜血検査では分からない小さな病変や早期のがん、ポリープも発見できます。
検査では、必要に応じて病変の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べる病理検査を行います。これにより、大腸がんかどうかを確定診断できます。また、良性のポリープであれば、その場で切除できる場合もあり、将来的ながんの発症予防にもつながります。
大腸がんの進行ステージ
大腸がんは、がんの深さやリンパ節・他臓器への転移の有無によって、ステージ0からⅣまでに分類されます。この進行ステージは、治療方法の選択や治療後の見通しを判断するうえで重要な指標です。一般に、ステージが早いほど治療の負担が軽く、治癒を目指せる可能性が高くなります。
| ステージ | 状態の目安 |
|---|---|
| ステージ0 | がんが大腸の粘膜内にとどまっており、転移はない |
| ステージⅠ | がんが大腸壁に浸潤しているが、リンパ節転移や遠隔転移はない |
| ステージⅡ | がんが大腸壁の外まで広がっているが、リンパ節転移はない |
| ステージⅢ | 周囲のリンパ節に転移が認められる |
| ステージⅣ | 肝臓や肺などの遠隔臓器に転移がみられる |
ステージ0やⅠの段階で発見できれば、内視鏡治療や手術によって治癒を目指すことが可能です。一方、ステージⅢ以降では手術に加えて薬物療法などが必要になる場合が多く、早期発見の重要性がより高まります。
大腸がんの治療法
大腸がんの治療法は、進行ステージやがんの部位、患者の全身状態などを総合的に考慮して決定されます。
早期の大腸がんでは、内視鏡による切除や手術のみで治療が完結するケースも多く、身体への負担を抑えた治療が可能です。一方、がんが進行している場合は、手術に加えて抗がん薬治療や放射線治療を組み合わせて行うことがあります。
早期に発見できれば、治療の選択肢が広がり、治療期間や生活への影響を抑えやすくなります。そのため、大腸がんはできるだけ早い段階で見つけ、適切な治療を受けることが重要です。
日本人の大腸がんは増加しています
日本では、大腸がんの患者数は年々増加しており、男女ともに発症率が高いがんとして知られています。背景には、食生活の欧米化や高齢化の進行があると考えられています。治療技術は進歩しているものの、死亡率は依然として高い水準にあり、発見の遅れが課題となっています。
大腸がんは、症状が現れる前に発見できれば治癒を目指せる可能性が高いがんです。血便や便通異常などの症状がある場合はもちろん、症状がなくても定期的に検査を受けておくことが、早期発見と命を守ることにつながります。