健康診断で「大腸憩室症です」と耳慣れない病名をいわれて不安になっている人はいませんか。
また、腹痛や出血が続いているのが気になっている方もいるのではないでしょうか。
今回は、大腸の主な病気のひとつである大腸憩室症について、症状や治療法のほか、発症する原因や検査方法について解説します。
目次
大腸憩室症とは
大腸憩室症とは、大腸の壁の部分が外側に向けて飛び出し、「憩室(けいしつ)」と呼ばれる小さな袋状になる症状です。
ほとんどの場合は無症状で、治療は必要ありません。しかし、憩室で炎症が起きる「大腸憩室炎」や、出血を伴う「大腸憩室出血」を発症している場合は治療が必要です。
大腸憩室症の保有率は、40歳以下で10%、50歳代で30%、70歳代になると50%と、年齢とともに上昇します。
大腸憩室症の主な症状
先ほどお伝えしたとおり、大腸憩室症は無症状のことがほとんどですが、炎症を起こしている場合は、以下の症状が見られます。
- 腰痛
- 発熱
- 吐き気・嘔吐
- 強い腹痛
- 下痢症状
また、憩室に溜まった糞便で、大腸の血管が傷つけられて出血している場合の主な症状は、以下のとおりです。
- 血便
- 突然の腹痛を伴わない大量下血
憩室からの出血は、突然の血便で発覚することが多いのが特徴です。当てはまる症状が出ている方は、早めに医療機関を受診しましょう。
大腸憩室症が引き起こす病気
大腸憩室症は、憩室から出血する「大腸憩室出血」や、憩室が炎症を起こす「大腸憩室炎」を引き起こすことがあります。ここでは、それぞれの病気について解説します。
大腸憩室出血
大腸憩室出血は、圧力や炎症などの刺激で憩室内の血管が切れて出血することにより起こります。
腹痛は伴わないことが多く、多量の鮮血便が主な症状です。自然に止まることもありますが、出たり止まったりを繰り返すこともあります。
抗凝固剤を内服中の方は出血が止まらず大量の血便と共にショックになる方もいます。
大腸憩室炎
次に大腸憩室炎ですが、これは普段外来診療を行っていても、しばしば遭遇する病気です。
憩室の膨れたところで菌が繁殖し、炎症を起こすことで発症します。憩室は上行結腸とS状結腸に多いので、発症する部位も右下腹部と左下腹部が多いです。上行結腸で起こった場合は、その近くで起こる虫垂炎との鑑別が必要となることがあります。
エコーやCTで痛みのある部位に、炎症を伴った腸管壁があれば診断がつきますが、エコーではわかりにくいこともあります。
大腸憩室症の治療法
無症状の大腸憩室症のみの場合は、治療の必要はありません。しかし、大腸憩室出血や、大腸憩室炎を発症している場合は、治療が必要です。
大腸憩室出血
出血が続いているときは緊急で大腸カメラを行い、出血原となっている憩室が判明すれば、クリップ等で憩室を閉鎖し止血を試みます。
内視鏡で止血困難な場合や、大量の出血が続いていて命に係わるときには、カテーテルを用いて血管造影検査を行い、出血点がわかれば血管を詰めて止血します。
中には出血を繰り返すこともあり、厄介なこともありますが、命にかかわることは稀だと思います。
大腸憩室炎
治療は基本的には抗生剤投与と腸管の安静になります。
軽症の場合は経口の抗生剤と、食事は消化のいい腸管に負担のかからないものを少量ずつ摂ってもらいます。
中等症になると点滴の抗生剤と、水分のみで絶食が必要になります。場合によっては入院が必要です。
高度の炎症を伴い膿がたまったり、腸の壁が破れて腸管内容物や膿が漏出したりすると、穿孔性腹膜炎という重篤な状況となり、入院、手術が必要となることもあります。
穿孔した場合はなかなか大変で、ご高齢の方や基礎疾患のある方は、場合によっては命に係わることもあります。
大腸憩室症の原因
大腸憩室症は、大腸の壁の強さと大腸の内部にかかる圧力のバランスが崩れることで発症します。
たとえば、便秘になると大腸内の圧力が上昇しやすくなります。そのため、便秘になりやすい方や、運動不足、バランスの悪い食生活などで便秘気味の方は注意が必要です。
また、肥満体質の方は、憩室の数が増えやすかったり、炎症を引き起こしやすくなったりするといわれています。そのほか、飲酒・喫煙・加齢なども主な原因とされています。
大腸憩室症の検査・診断方法
検査はおもに、腹部のCT検査や注腸造影検査を行います。
大腸憩室炎を発症して腹痛や発熱を伴っている場合は、問診や血液検査で炎症の強さを調べます。
また炎症を起こしている場合、CT検査やエコー検査で、炎症を起こしている憩室の腸壁が厚くなっていることを確認するのが基本です。
大腸憩室出血の場合は、血液検査で炎症や貧血の程度を見ます。また、CT検査で出血している部分を調べたり、内視鏡検査で出血の様子を確認したりするのと同時に、出血部分を塞ぐ治療も実施します。
大腸憩室症の予防法
憩室炎の予防としては便秘を避けることが重要です。
肉など動物性たんぱく質・脂質は控えめにし、野菜や穀物などの食物繊維を日頃から多く摂りましょう。規則正しい食生活も便通リズムを整えるのに有効です。
また抵抗力が落ちると感染症にかかりやすくなることから、睡眠をきっちりとって運動を適度に行いましょう。身体を動かすと腸の動きも活発になります。
またアルコールやカフェイン、香辛料など、腸に刺激の強いものは摂りすぎないようにしましょう。
このような方は一度ご相談ください
健康診断で大腸憩室を指摘された方やこれまで一度も大腸カメラなどで大腸の検査を受けたことがない方は、一度医師の診察を受けてみることをおすすめします。また、腹痛や発熱、原因不明の腰痛などがある方は、早めに医師に相談してみてください。
当院では、大腸憩室症の検査・治療を随時行っております。高性能なカメラを用いて、安全で苦痛の少ない検査を行いますので、初めての方でも安心です。気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。