機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)は、胃カメラなどの検査で異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれやみぞおちの痛みなどの不快な症状が続く病気です。命に関わる病気ではありませんが、日常生活の質を下げる原因になることがあります。
そこで今回は、症状や原因、治療の考え方をわかりやすく解説します。
目次
- 機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)とは?
- 機能性ディスペプシアの主な症状
- 機能性ディスペプシアの原因
- 機能性ディスペプシアの検査・診断方法
- 機能性ディスペプシアの治療法
- 症状が続く場合は消化器内科を受診しましょう
機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)とは?
機能性ディスペプシアは、「機能性胃腸症」とも呼ばれる疾患です。
英語では functional dyspepsia といい、略して「FD」と表記されることがあります。
「ディスペプシア(dyspepsia)」という言葉は日本ではあまりなじみがありませんが、dys- は「障害・不調」、pepsia は「消化・胃腸」を意味し、消化不良や胃の不調を表す言葉です。
機能性ディスペプシアとは、胃カメラなどの検査を行っても明らかな異常が見つからないにもかかわらず、胃に関係した不快な症状が続く状態を指します。
胃カメラで確認できる病気には、慢性胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、胃がんなどがあります。これらのように、検査で異常が確認できる病気は「器質的疾患」と呼ばれます。
一方、機能性ディスペプシアは、こうした器質的疾患が認められず、見た目には正常であっても、胃の働きがうまく機能していない状態と考えられています。
機能性ディスペプシアの主な症状
以下の症状に当てはまる人は、機能性ディスペプシアの可能性があります。
- 食後に胃が重く感じる、胃もたれが続く
- 少量の食事でもすぐに満腹感が出る
- みぞおち付近に痛みや不快感がある
- 胃の張りや膨満感を感じやすい
- 胸やけや吐き気が繰り返し起こる
これらの症状は、毎日のように続く場合もあれば、ストレスや疲労が強いときに悪化する場合もあり、症状の現れ方には個人差があります。
機能性ディスペプシアの原因
機能性ディスペプシアの原因は一つに特定されておらず、いくつかの要因が重なって発症すると考えられています。代表的な要因として、胃が刺激に対して過敏になることが挙げられます。通常では問題にならない刺激でも、不快症状を感じるようになることがあります。
それ以外にも、精神的なストレスや不安、緊張状態が続くことも原因です。自律神経のバランスが乱れ、胃の働きを調整する機能が低下することも、症状に影響すると考えられています。そのほか、不規則な食生活、睡眠不足、過度な飲酒や喫煙などの生活習慣が、症状の悪化や長期化に関係するとされています。
機能性ディスペプシアの検査・診断方法
機能性ディスペプシアは、症状の状態や発症からの期間を確認したうえで診断します。胃や周囲の臓器に異常がないか、複数の検査を組み合わせて総合的に判断されます。ここでは、診断方法をいくつかご紹介します。
胃内視鏡検査
胃内視鏡検査は、口または鼻からカメラを挿入し、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察する検査です。胃炎や胃潰瘍、胃がんなど、症状の原因となる器質的疾患がないかを確認します。
機能性ディスペプシアでは、症状があっても粘膜に明らかな異常が認められないことが多く、この「異常が見つからない」点自体が診断を進めるうえで重要な判断材料になります。
ピロリ菌検査
ピロリ菌は、慢性胃炎や胃潰瘍、胃がんの発症に関係する細菌で、胃の不快症状の原因となることがあります。機能性ディスペプシアと症状が似ている場合があるため、感染の有無を調べることが重要です。
検査方法には呼気検査や血液検査、便検査などがあり、陽性と判定された場合は除菌治療を行い、その後に症状が改善するかを確認します。
血液検査
血液検査では、体内に炎症が起きていないか、貧血がないか、肝臓や膵臓など胃以外の臓器に異常がないかを確認します。
機能性ディスペプシアは、胃そのものに異常が見つからない病気であるため、他の疾患を除外する目的で行われます。全身状態を把握することで、胃の症状が別の病気によるものではないかを判断する重要な検査です。
腹部超音波(エコー)検査
腹部超音波検査は、超音波を使って肝臓や胆のう、膵臓などの状態を調べる検査です。胃の症状が、胆石症や膵臓の病気など、他の臓器の異常によって起こっていないかを確認する目的で行われます。
放射線を使用せず、体への負担が少ない検査であるため、初期検査として実施されることも多いです。
機能性ディスペプシアの治療法
機能性ディスペプシアは、目にみえる異常を治療する病気ではありません。そのため、症状の種類や強さ、生活状況に応じて、生活習慣の見直しや薬物療法を組み合わせた治療が行われます。
生活習慣の改善
生活習慣の改善では、十分な睡眠を確保し、過労やストレスをため込まないことが重要です。不規則な生活や緊張状態が続くと自律神経が乱れ、胃の働きに影響を与えるため、生活リズムを整えることが症状の軽減につながります。
軽い運動や休息の時間を意識的に取り入れることも有効です。
食生活の改善
食生活の改善では、胃に負担をかけない食事を心がけます。一度に大量に食べるのを避け、脂っこい食事や刺激の強い食品、アルコールの摂取を控えることが大切です。
また、食事時間を一定に保ち、よく噛んでゆっくり食べることで、胃の働きを助けることが期待されます。
薬物療法
薬物療法では、胃の動きを整える薬、胃酸の分泌を抑える薬などが症状に応じて使用されます。胃の不快感や痛みが強い場合には、症状を和らげる薬が処方されることもあります。精神的な緊張が関与している場合には、心身のバランスを整える目的で治療が行われることもあります。
症状が続く場合は消化器内科を受診しましょう
機能性ディスペプシアの症状は、疲労やストレスが強いときに悪化する場合など、人によって現れ方が異なります。症状が一時的に軽くなっても、繰り返し起こることも多いです。
胃の不調が長引いている場合や食事や仕事など日常生活に支障が出ている場合は、自己判断せず、一度消化器内科で相談することがおすすめです。専門家に相談することで、異常を早期発見し、症状に合った治療を検討できます。胃の不調が続く場合は、早めに医療機関へ相談してください。