「排便のときに違和感がある」「血がついていた」そのような症状に不安を感じながらも、忙しさや恥ずかしさから受診を先延ばしにしていませんか?この記事では、脱出性内痔核の症状・原因・重症度・治療法をわかりやすく解説します。自分の症状に合った対処法の参考にしてください。
目次
- 脱出性内痔核とは
- 脱出性内痔核の症状
- 脱出性内痔核の原因
- 脱出性内痔核の重症度の目安
- 脱出性内痔核は自然に治る?
- 脱出性内痔核の治し方
- 脱出性内痔核で受診する目安
- 脱出性内痔核を悪化させないための生活習慣
- 気になる症状がある方は早めに受診を
脱出性内痔核とは
脱出性内痔核とは、肛門の内側にできた痔核(いぼ痔)が、排便時などに肛門の外に飛び出してしまう状態です。初期のうちは自然に戻ることが多いため、軽く考えて見過ごされがちです。しかし脱出性内痔核は進行性の疾患であることも多く、放置すると悪化するリスクがあります。症状の程度によっては、硬化療法(注射による治療)や手術が検討されます。
脱肛との違い
「脱肛」とは、肛門から何かが出ている状態の総称であり、正式な病名ではありません。脱出性内痔核はその脱肛の一種で、内痔核が脱出しているものを指します。
また、直腸の壁そのものが出てしまう「直腸脱」など、見た目が似ていても原因・治療法が異なる疾患もあります。自己判断せず、専門医による正確な診断を受けることが大切です。
脱出性内痔核の症状
以下のような症状に心当たりがある方は、脱出性内痔核の可能性があります。
排便時にいぼのようなものが出る
排便のたびに肛門からやわらかいふくらみが出る感覚がある場合、内痔核が脱出しているサインです。初期は自然に戻るため見過ごされがちですが、放置すると悪化する場合があるので注意しましょう。
血がつく・血がポタポタ出る
排便の際、トイレットペーパーに血がつき、鮮やかな血が出ます。痛みを伴わないことも多く、出血が続く場合は、痔以外の病気、たとえば大腸の病気の可能性もあるため、医師に相談することが大切です。
指で戻す必要がある・戻らない
肛門から出ているものが自然に戻らず指で押し込む必要がある場合、脱出性内痔核の症状は進行している可能性が高いです。さらに進むと指でも戻らなくなり、早急な受診が必要です。
違和感・残便感がある
肛門付近にはっきりした痛みがなくても、「何かが挟まっているような感じ」「出し切れない感覚」が続く場合も脱出性内痔核のサインです。
脱出性内痔核の原因
脱出性内痔核は、生活習慣や加齢などが関係しています。特に働く30〜50代に多く見られる原因を見てみましょう。
便秘・いきみ
排便時の強いいきみは肛門周辺の血管に大きな圧力をかけるため、脱出性内痔核の原因となります。食事の乱れやトイレを我慢する習慣がある方は特に注意が必要です。
長時間の座りっぱなし
デスクワーク中心の方は肛門周辺に持続的な圧力がかかり、血流が滞って痔核が形成されやすくなります。また、同じ姿勢を長時間続けることで、うっ血が進み、内痔核の悪化につながることもあります。
加齢による肛門周囲のゆるみ
30〜50代になると、肛門を支える筋肉や粘膜が衰え、内側の組織が外へ出やすくなります。その結果、排便時のいきみをきっかけに、痔核が肛門の外へ脱出しやすくなる場合があります。
生活習慣の悪化(食事・運動不足)
食物繊維不足、水分摂取の少なさ、運動不足はいずれも便秘を招きます。そのため、便秘によって排便時のいきみが増えることで、肛門周辺の血管に負担がかかり、痔核が大きくなりやすくなります。忙しい毎日の中で食事がコンビニ中心になっている方は、生活習慣そのものが発症リスクを高めている可能性があります。
脱出性内痔核の重症度の目安
脱出性内痔核は段階的に進行します。重症度の見分け方を簡単に紹介します。
軽度:出ていない状態
- 内痔核はあるが、まだ外に出ない
- 出血や違和感が主な症状
生活改善や薬で対応できるケースが多いです。
中度:出るが自然に戻る
- 排便時に脱出するが、自然に元の位置に戻る
この段階から積極的な治療が検討される段階です。中度以上になると、症状を改善するために硬化療法や手術が積極的に検討されることが多いです。
やや重度:指で戻す
- 脱出した痔核が自然には戻らず、指で押し込む必要がある
硬化療法や手術が視野に入る状態です。
重度:戻らない
- 常に脱出したままで指でも戻らない
この段階になると手術が必要になるケースがほとんどです。
脱出性内痔核は自然に治る?
脱出性内痔核が自然に治ることはほとんどありません。軽度であれば生活改善で症状が落ち着くことはありますが、根本的な改善には治療が必要です。
また、放置することで以下のリスクが高まります。
- 脱出の頻度が増し、やがて戻らなくなる
- 出血が慢性化し、貧血を引き起こす可能性がある
- 脱出した痔核が締め付けられ、激しい痛みが生じる
- 炎症や感染が広がるリスクがある
脱出性内痔核の治し方
脱出性内痔核の治療は、いきなり手術というわけではありません。症状の程度に応じて段階的に判断します。脱出性内痔核の治療法について紹介します。
生活改善・薬での保存療法
軽度〜中等度の場合、便秘を改善する内服薬や炎症を抑える坐薬・軟膏を使いながら、排便習慣や食事を整えます。まずは保存療法から始めることが一般的です。
日帰り治療(切らない治療)
ジオン注射(ALTA四段階注射法)による硬化療法という方法もあります。
痔核に特殊な薬剤を注射して硬化・縮小させる治療で、切らずに日帰りで受けられる治療です。軽症〜中等症の脱出性内痔核の方に適しており、治療後の痛みも少なく、数日で日常生活に戻れます。まとまった休みが取れない方にも選択しやすい方法です。
当院でも、ジオン注(ALTA四段階注射法)による硬化療法を行っています。結紮切除が必要な場合は、他院へ紹介しています。
手術での治療
保存療法や硬化療法で改善が難しいときや、脱出が戻らなくなった場合には外科的手術が必要になることがあります。近年は低侵襲な術式も増えており、担当医と十分に相談したうえで最適な方法を選ぶことができます。
脱出性内痔核で受診する目安
以下のような症状が当てはまる方は、早めに専門医を受診してください。
- 出血が続いている(排便のたびに血が出る・止まらない)
- 排便のたびに脱出する(毎回繰り返している)
- 指で押しても戻らない(常に脱出した状態)
- 強い痛みや腫れがある(急に悪化した場合は特に注意)
痔は「恥ずかしい」と思われがちですが、専門医にとっては日常的な診療です。早めに相談するほど、体への負担が少ない治療で改善できる可能性が高まります。
脱出性内痔核を悪化させないための生活習慣
治療と並行して、日々の生活習慣を見直すことも重要です。
- 便秘対策:食物繊維(野菜・きのこ・豆類など)と水分(1日1.5〜2L)をしっかり摂る
- トイレ時間の見直し:長時間座らない(目安は3〜5分以内)、スマホ持ち込みをやめる
- 座りっぱなし対策:1時間に1回は立ち上がる、クッションを活用して圧力を分散する
- 適度な運動:ウォーキングなど腸の動きを活発にする習慣を取り入れる
症状を感じたら「様子を見よう」と先延ばしにせず、まずは専門医への相談から始めてみてください。早期の対処が、痛みの少ない治療と早期回復への近道になります。
気になる症状がある方は早めに受診を
痔は「恥ずかしい」と感じて受診をためらう方が多いですが、肛門内科・肛門外科は毎日多くの患者さんが訪れる身近な診療科です。症状が軽いうちほど、体への負担が少ない治療で改善できる可能性が高まります。
「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、気になる症状があれば早めに専門医を受診しましょう。吉岡医院でも肛門外科・一般外科にて診察を行っております。ご不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。吉岡医院のホームページ。