京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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ピロリ菌による発癌は「遺伝子の錆び」

2014年10月27日

10月23日~26日まで神戸で、
JDDW(日本消化器関連学会週間)という、
国内最大級の学会が開催されていました。

毎年1回10月に行われていますが、
私も平日と土曜日は毎日診療がありますので、
26日日曜日のみ参加してきました。

その中の教育講演で、
ピロリ菌による胃がん発癌のメカニズムにつき、
興味深い話がりましたので少しご紹介いたします。


ご存知の方もおられると思いますが、
胃にピロリ菌が感染していると、
胃がんの発がん率が上昇します。

逆にピロリ菌陰性の方は、
ほとんど胃がんにはなりません。
なぜでしょう?

それはピロリ菌感染により、
胃粘膜の細胞のDNAが、
メチル化を起こしているからだそうです。

「メチル化」というのは、
例えて言うと、
「錆び」の様なものだということです。

ピロリ菌感染で慢性胃炎が起こり、
「遺伝子の錆び」が生じると、
がんが発生してくるというのです。

ピロリ菌感染がある人の胃粘膜には、
DNAがメチル化した細胞が、
ピロリ菌の感染のない人より多くみられるそうです。

ピロリ菌感染がきっかけで胃粘膜の細胞に錆が生じ、
その細胞ののなかから
胃がんが発生すると考えれているそうです。

 

またピロリ菌を除菌すると、
胃がんの発生の頻度を下げることが知られていますが、
除菌したにもかかわらず胃がんができる方もおられます。

では将来、
ピロリ菌除菌後に胃がんになるかどうか違いは、
どこにあるのでしょう?

除菌をした人で胃がんにならなかった人の胃粘膜は、
DNAのメチル化した細胞の減少がみられるそうです。
逆に発生した人は依然として多くみられるとのことです。

それはDNAのメチル化が、
胃粘膜のもとになる幹細胞にまで、
及んでいるからだそうです。

既に幹細胞までメチル化を起こしている場合は、
いくらピロリ菌を除菌しても、
メチル化した細胞は減少せず、
胃がんが発生しやすい状況が続くそうです。

従って、
ピロリ菌除菌後に胃粘膜のDNAのメチル化を調べると、
将来の胃がんの発生リスクが高いか低いかを
分類することができるのではないかと考えられています。

 

また、
DNAのメチル化を抑えるお薬ができれば、
胃がんを抑えることができるのではないかと
現在研究が行われているとのことです。

なんだか難しい話ですが、
今までは偶然できるように考えられていた胃がんにも、
それなりの原因や理由があることが判明してきたのです。

そうなれば今まで一律に年1回行ってきた胃カメラも、
胃がんのリスクの高い人は毎年、
低い人は3年に1回というように、
必要のない人は検査を省略できるかもしれません。

今後の研究の成果が待たれるところです。


ちなみに学会当日、
26日日曜日は、
「大阪マラソン」の日でした。

私はエントリーしていましたが、
膝の状態が良くないのと練習不足で断念しました。
42.195㎞走れる体ではなかったのです。

言いわけを考えればきりがないのですが、
エントリーして走らないのは、
抽選で落ちた多くのランナーに申し訳が立ちません。

 

現在私の体は錆びつつあるようです。
最近では10km走るのもしんどくなってきました。
このままでは本当に錆びてしまって、
フルマラソンなど走れなくなりそうです。

来年2月の京都マラソンまでに、
きちんとトレーニングし、
錆びのないきれいな体にしたいと思っています。