京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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子供の自転車選びで気づいたこと

2018年9月7日

9月4日に四国、近畿地方を、
強い台風21号が直撃しました。

京都はお昼の2~3時ごろに、
猛烈な風と雨が吹き付け、
道路には飛ばされた物が散乱しました。

 

午前診のあと私は医院に残り、
何か被害が出ないか見守っていましたが、
とにかく怖いくらいのすさまじい風でした。

同じ町内のお家だけでも、
壁が落ちたりガラスが割れたりと、
結構な被害がありました。

 

夕方の診療には、
台風でガラスが割れ足を切った方が
受診されました。

今まで経験したものとは全く異なる
台風の本当のすさまじさを
今回身をもって感じました。

 

皆様はご無事だったでしょうか。

京都も大雨、台風、記録的熱波など、
今年の夏は本当にきつかったですね。
これが最後になるといいですね。

 

 

話は大きく変わるのですが、
先日4歳の誕生日を迎える息子に、
自転車を買ってあげました。

今回はその時のお話です。

難しい病気の話はありませんので、
気軽に読んでいただけると嬉しいです。

 

子供用の自転車は
どこで買えばいいのわかりません。

これまでは自分でこいで走る
4輪車に乗っていました。

 

 

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後ろで亀のように足でこいでいるのが、
今回自転車を買う息子で、
前で自転車をこいでいるのがその姉です。

 

娘の時と同じように、
ひとまず京都駅近くの家電量販店にある、
自転車売り場に行ってみました。

 

品揃えはまずまずですが、
一体どれを選ぶといいのかわかりません。
12インチ?14インチ?成長を考えると
大きいほうがいいのかな?

 

イメージとしては、
補助輪のついたペダル付きの自転車です。

 

展示していた自転車で、
体に合ったのは1台でした。
他はちょっと大きいサイズでした。

 

サイズや形などどれを選ぶといいのか、
店員さんにも聞きましたが、
忙しそうで的を得た答えは聞けませんでした。

 

仕方なく置いてあったカタログから
良さそうなものを選び、
取り寄せてもらうように頼みました。

 

しばらくたってから店員さんは、
「カタログの中のこの自転車は扱っているが、
ご希望のものは当店では扱いがなく
取り寄せることができません」と言われました。

 

店に置いてあるカタログの商品が、
取り寄せることもできない?
もはや理由を尋ねる気にもなりません。

 

私たちがあれこれ相談している間、
息子は別のペダルのない自転車で、
楽しそうに遊んでいました。

 

このままでは何の収穫もなく、
終わってしまいます。
息子も今日買って帰れないのを知ると、
とても残念がるでしょう。

 

仕方なく、
ほかの自転車屋さんに
行くことにしました。

 

スマートフォンで
子供用自転車のお店を探しているとき、
ふと通勤途中で通りかかる
1件の自転車屋さんを思い出しました。

 

最近はチェーン店の自転車店が、
交差点の角などに目立つようになりましたが、
そのお店は見たところ個人のお店です。

 

子供用の自転車や籠などのアクセサリーが、
店頭に並んでいるのを見たことがあります。
相談に乗ってくれるかもしれません。

 

飛び込みで行きました。
予想通り子供用の自転車やヘルメットが、
お店の一番前に並べてあります。

私より少し年上と思われる男性が、
一人で作業されていました。
どうやらこの方が店長さんのようです。

 

「この子の自転車を探しています」
と尋ねると、
「もちろんありますよ」
と答えてくれました。

 

「うちは子供用の自転車は、
この1種類でやっています。」

よく見ると先の売り場で、
息子が乗り回していた、
子供用のペダルなし自転車でした。

 

私からするとおもちゃの様な自転車ですので、
4歳から乗るにはちょっと物足りないかな?
なんとなく不安がよぎります。

 

なぜこの1種類しか置いてないのか、
店長の説明が始まりました。

 

自転車は軽ければ軽い方が、
子供にはいいのだと。

 

また、
自転車に乗れるようになるまでの、
必要な能力には、

① 2輪でバランスをとる能力

② ペダルをこぐ能力

③ ブレーキをかける能力

があるそうです。

 

それを一気にやろうとするから、
ものすごい難しい作業になると。

順番に一つずつクリアすれば、
誰でも早いうちに乗れるようになると。

 

またスピードが出ないと、
2輪でのバランスがとることができない。
重い自転車はスピードが出ない。
だから乗るのが難しいのだと。

こういうことをもとに考えると、
店頭に置いている自転車は、
とても軽いので子供でも簡単に扱える。

 

ということだそうです。

何となく説得力があり納得できます。

 

「例えばバイクの免許取り立ての人が、
ハーレーダビットソンを買ったとしても、
それでは一生乗れない人も出るでしょう。」

これも確かにそうかもしれないと思いました。

 

そういえばうちの子供も、
先ほどの店で駒付きの頑丈な自転車より、
このおもちゃの様な軽量の自転車を、
嬉しそうにこいでいました。

 

また自転車の大きさもサドルの高さも、
あまり必要ないそうです。
低い方が重心が下になり、
走行が安定するそうです。

これで無理して高い自転車に、
乗る必要がないことがわかりました。

 

そしてこの自転車の素晴らしいところは、
アルミの躯体で軽量であるのと同時に、
後付けでペダルが付くということです。

これで先ほど教わった、
バランスをとって乗る能力がついてから、
ペダルを漕ぐ練習ができるわけです。

 

このようなことを考えると、
最軽量で扱いやすくスピードも出しやすく、
段階に応じてペダルをつけることができる、
この自転車が最良との結論に至ったそうです。

 

「ほかの幼児用の自転車は売っていません、
一番いいと思うものしか売りたくないので」
と店長さんはおっしゃっていました。

 

私はその場でその自転車に決めました。
何かすごくスッキリした気分になりました。

 

息子は、私と店長さんが話している間、
気に入った色の自転車にまたがり、
自分のもののようにずっと乗っていました。

 

好きな色を選ぶことができ、
ハンドルの前に小さいかごも取り付けてもらい、
オリジナルの自転車ができました。

 

「5メートルくらいまっすぐ乗れたら、
ペダルをつけるので持ってきてください」
「すぐに乗れますよ」
店長さんはそう言って見送ってくれました。

 

私はとても満足し、
お店を後にしたのでした。

 

家に帰ってからちょっと考えました。

私はなぜ今回の買い物に、
これ程までに満足しているのだろうか。

それは単にほしいものを手に入れた、
満足感とは少し違うものでした。

 

もちろん息子が好んだ自転車が、
その日のうちに買うことができた、
そして本人がとても喜んだことが一番です。

 

それとともに
子供の自転車を選ぶうえで必要なことを、
きちんと説明してもらい、
それに納得して購入できたこともあります。

 

たまたまかもしれませんが、
その前に行った量販店では、
きちんとした説明は聞くことができませんでした。

 

最近では多くの人たちがネットを使い、
商品の現物を見ることなく、
評価のみを頼りに買い物しています。

もちろん、
私も例外ではありません。

 

しかしそれは乱暴な言い方をすれば、
商品を店頭に並べるだけ並べて、
買い物客には一切説明しないで、
自己責任で買ってもらているようなものです。

レジに人もいないのです。

 

もちろん販売コストは下げられるので、
安くで提供できますが、
商品の良さは伝わりません。

 

自動車保険をもネットで購入する時代、
値段ばかりに目が行きますが、
中身まで把握できているでしょうか。

 

私は普段の診療で、
物を売っているわけではありませんが、
医療サービスを提供し対価を頂いています。

実は同じことなんだなと思います。

 

患者様の多くは、
病院に来て長い時間待った以上は、
きちんとした説明を求めておられます。

そこを時間がないから省略したり、
難しい説明を躊躇するために、
医療に対する不信感が出ることがあります。

 

私も検査や診療の内容を
できるだけ説明するように心がけています。

時に患者様から
「こんなに詳しく話してもらったのは、
初めてです」といっていただくこともあります。

 

その時の患者様の気持ちは、
まさに私が自転車の説明を受けて
満足したのと同じだと思います。

 

きちんと説明し、それを理解され、
よりよい関係が生まれる、
これは今のネット社会で、
なんとなく希薄になった部分かと思います。

 

医療の分野もネットなどのIT化、
AIの活用など、
少しずつ形を変えてきています。

 

この流れは変えることはできませんが、
人間同士のつながりも
やはり大切な部分ではないかと感じています。

 

 

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こんな楽し気な姿が見れるのも、
自転車屋さんの適切なアドバイスの賜物です。

 

私も見習いたいと思います。