京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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京都市における風しんの追加的対策について

2019年3月27日

ついこの間年が明けたかと思えば、
早くも年度末になりました。

 

寒かった冬もようやく終わり・・・、
と行きたいところですが、
まだまだ寒い日がありますね。

 

今週はおそがけのインフルエンザが、
2件ほど出ましたが、
もうぼちぼち終了です。

 

その代わりに花粉症が多くなっています。
皆様は鼻炎の症状など出てませんか?

 

 

さて、
今回は風しんのワクチン接種が、
一部の方で公費で受けられるようになった
というお話です。

 

皆様もご存知のように最近では麻しんの流行が
マスコミを賑わしていました。
特に大阪のあべのハルカスでは、
多数の感染者が出ていたのは記憶に新しいです。

 

実はそれ以前から風しんも地味に流行しています。

 

平成30年夏ごろから、関東の大都市圏を中心に、
風しん患者が増加し、
平成25年の大流行以来の患者数だそうです。

 

この流行には特徴があり、
患者のおよそ8割が男性で、
その多くが30~50代だそうです。

 

この世代はこれまで定期接種の機会がなく、
他の世代と比べ、
抗体保有率の低い世代といわれています。

 

国はこのような状況を鑑み、
この世代の男性に対し2022年3月までの3年間に、
風しんの予防接種を行うことを決めました。

 

具体的には
昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれの
男性に限られます。

 

おそらく東京オリンピックを
睨んでのことではないかと思っております。

 

海外から多数の観戦客を取り込むにあたり、
開催地で風しんが蔓延しているなど、
先進国ではあるまじきと考えるからです。

 

国はようやく対策に乗り出し、
まずはそのような世代の男性に、
予防接種を行うことを決めたのです。

 

この決定を受け京都市では、
平成31年3月25日(今週の月曜日)から、
風しんの追加的対策(抗体検査・定期予防接種)を
開始することとなりました。

 

対象者には市町村からクーポン券を配布され、
協力医療機関で抗体検査をまず行い、
抗体がない方に予防接種が行われます。

 

クーポン券の配布は現在準備中で、
8月頃のお届けとなるそうです。
クーポン券配布前でも受けられるように、
追加的対策を実施するとのことです。

 

1.対象となる方
昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれで、
京都市内に住所を有する男性。

以下の方は対象外です。
①これまでに風疹にかかったことがある。
②これまでに風疹の予防接種を受けたことがある。

 

2.窓口負担
抗体検査:無料
予防接種:3,500円(後日申請すれば無料になります)
クーポン券配布後は窓口負担なし。

 

3.開始日
平成31年3月25日(月)
今週から始まっています。

 

詳しくはこちらをご覧ください。
京都市情報館:風しんの追加的対策について

 

実は京都市では、
H26年より別の風しん対策事業が走っています。
妊婦さんに対する風しん予防です。

 

ご存知の方もおられますでしょうか。
京都市情報館:京都市風しん対策の充実について

 

追加対策と同じように、
風しんの抗体検査と予防接種を行う、
京都市が主導の風しん対策です。

 

対象者の中に、
風しん抗体検査では、
イ 「風しんの抗体価が低い妊婦」の同居者

風しん予防接種では、
イ 「風しん抗体価が低い妊婦」の同居者のうち,
風しん抗体価が低い方
ウ 「風しん抗体価が低い妊娠を希望する女性」
の同居者のうち,風しん抗体価が低い方

が含まれています。

 

実はこの方々の中には、
今回の追加対策の対象者となる、
昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれで、
京都市内に住所を有する男性が
含まれるているのです。

 

ではこの両方に含まれる方は、
国の対策か、京都市の対策か、
どちらを利用するのが良いでしょうか。

 

まず抗体検査の方ですが、
国も京都市もどちらも無料で受けられます。

 

ただ京都市の場合では、
奥様が妊娠されていなければ受けられませので、
そもそも対象の方は少ないと思います。

 

予防接種の方ですが、
国は無料で、京都市は3,500円の費用が
かかってきます。

 

それなので、
国の制度を利用するほうが得ですね。

 

ただしここもややこしくて、
国の抗体検査の接種基準と京都市の基準が、
微妙に異なっています。

 

通常風しん抗体検査のHI法では、

8倍未満 (-) (陰性)
8倍、16倍 (±)(十分な免疫無し)
32倍以上 (+) (十分な免疫あり)

16倍以下の方に予防接種を行っています。

 

しかし、今回の国の接種条件では、
陰性の基準がHI法で8倍以下とされています。
京都市のものは16倍以下です。

 

つまりHI法で16倍と結果が出た方は、
免疫が不十分でありながら、
国の追加対策ではワクチン接種できません。

 

京都市の対策では、
16倍までは接種の対象になりますので、
打つことができます。

 

となれば、3,500円を払ってでも、
京都市の制度に乗っかるほうが、
いいと思います。

 

まとめますと、風しんの抗体検査(HI法)が
8倍以下・・・国の対策を利用し無料
16倍以下・・・京都市の対策を利用し3,500円
32倍以上・・・接種の必要なし
ということになります。

 

あくまでも、
昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれで、
京都市内に住所を有する男性で、
風しん抗体価が低い妊娠を希望する女性の同居者
である方のお話でした。

 

該当される方は少ないと思いますが、
念のためお伝えいたしました。
長々と失礼しました。

 

しかしながら、
昨今の麻しん、風しん両方の流行の影響で、
現在両者に共通であるワクチンの、
MRワクチンが完全に不足しています。

 

当院にもわずかに入ってきますが、
小児科の定期接種のお子様にまわすので
精一杯の状況です。

 

それなので現在のところ、
抗体検査は受けていただけるのですが、
大人の方のワクチン接種はできておりません。

 

誠に申し訳なく思っています。

 

現在のところ、お子さんの方は定期接種で、
スケジュールや期限があるので、
やはりそちらを優先せざるを得ません。

 

しかしこれからは、
国の対策で対象となる男性も定期接種となることから、
優先順位を考えなければならないですね。

 

国もこのような政策を打つのであれば、
まずはワクチンの十分な供給を
優先すべきだと思います。

 

これからもワクチンが不足すれば、
それこそオリンピックに
間に合わなくなりませんか。

 

ただでさえワクチンが不足しているところに、
無料のワクチン接種の対象者を増やしてしまうことで、
現場では対応にさらに苦慮する結果となります。

 

厚労省はその辺のことは
どのように考えているのでしょうか。

 

しばらくは状況を見守るしかないですね・・・。

 

ご参考になれば幸いです。