京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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「インターバルキャンサー」と「見落とし」について

2019年9月17日

少し涼しくなったかと思えば、
また日中は猛暑日と、
季節がなかなか進みませんね。

 

また最近は季節外れのインフルエンザが、
医師会のメールでも報告されています。

 

旅行などで公共機関を利用されて熱が出た方、
周りの風邪がうつったと思われる方、
そのような方にはインフルエンザの可能性も
あると思われます。

 

高熱の際には、
念のため医療機関で確かめられてください。

 

 

さて今回は
インターバルキャンサーについて
少しお話いたします。

 

インターバルキャンサーという言葉、
聞かれたことがある方は
少ないのではないかと思います。

 

インターバルキャンサーとは、
検診と次の検診の間で発見されるがんのことで、
多くは進行性のものをさします。

 

日本語では「中間期がん」と
いわれるそうです。

 

検診の間1年~2年の間に急速に増殖し、
場合によっては転移を引き起こしてくるので、
悪性度の高いがんと言うことになります。

 

ただ、前回の検診で指摘されず、
次の健診で進行がんが発見されたということは、
別の可能性もあると思われませんか。

 

鋭い方はお気づきになられたかもしれません。
前回検査の時に既にあったがんを、
見落としている可能性です。

 

インターバルキャンサーの中には、
前回の検診で見落とされたものも
可能性としてあると思われます。

 

特に胃カメラや大腸カメラを行っている
私たちには、
インターバルキャンサーにはドキッとします。

 

 

例えば、
前回の胃カメラで異常なしとしたのに、
1年後の胃カメラで「早期がん」が見つかる、
これはあり得ることだと思います。

 

それは、
がんは通常1個のがん細胞が分裂し、
数が増えて大きくなっていくからです。

 

つまり前回の時には細胞数が少なくて、
内視鏡ではっきりわかる大きさでは
無かったかもしれません。

 

それが1年たって今回の検査で、
初めて1㎝程の大きさとなり、
内視鏡で見つかったということになります。

 

このケースでは一般的には
見落としとは言わないと思います。
内視鏡検査の限界といわざるを得ません。

 

 

では、1年後に「進行がん」が見つかった場合は
どう考えましょうか。

 

定義の上ではインターバルキャンサーですが、
むしろそれはインターバルキャンサーというよりは、
前回の見落としである可能性が高いと言えます。

 

何故なら、
インターバルキャンサーは、
日常診療ではあまり出会わないからです。

 

頻度で言えば、
インターバルキャンサー < 見落とし
となると思います。
(調べたわけではありません、個人の感想です)

 

 

私も過去に1例、
定義上のインターバルキャンサーを
経験したことがあります。

 

大腸カメラを行った1年後の大腸カメラで、
小さながんを見つけました。

 

大きさは大したことなかったのですが、
調べてみるとがん細胞は大腸壁深くまで浸潤しており、
いわゆる進行がんでした。

 

前回は指摘がなかったわけですから、
定義上はインターバルキャンサーとなりますが、
恐らくは前回の見落としと考えています。

 

幸いなことに、
手術で完全に治癒する段階ではありましたが、
前回指摘できなくて申し訳なく思いました。

 

 

これは一般的な話ですが、
大腸カメラの場合はある一定の割合で、
見落としは起こりえます。

 

それは大腸カメラ検査には、
死角が少なからず存在するからです。

 

もちろん胃カメラでも、
観察しにくいところはありますが、
いわゆる死角とまで言うところは、
胃の中にはあまりありません。

 

胃は基本的には大きな袋であり、
それを順方向と逆方向の2方向から
観察することができるからです

 

また食道は、
長細い筒状の臓器であり、
視野を妨げるものはあまりありません。

 

それに対し大腸は、
蛇腹のような襞が多く存在し、
1方向で観察するので、
襞の向こう側が常に死角になります。

 

また大腸は腹部の臓器を
大きく囲むような形をしているため、
曲がり角か多くあります。

 

一部の曲がり角は、
鋭角になっている場所もあり、
死角になりやすいと考えられます。

 

要するに大腸カメラでは、
ある一定の割合で、
見落としが起こりうるのです。

 

それはどんなベテランの先生でも、
神の手といわれる先生でも、
起こりうるのです。

 

 

では見落としを少なくするには
どうすればいいのか。

 

それは大腸内の観察を、
じっくり時間をかけて行うことです。

 

ある研究では、引き戻しの観察時間が、
6分未満と6分以上では、
ポリープの検出率に差があったことが
報告されています。

 

つまり欧米では、
引き戻しの観察時間は、
6分以上が推奨されています。

 

私は大体10分以上かけて観察しますので、
自分で言うのも何ですが、
割と丁寧に観察していると思います。

 

それでもやはり見落としありきと
考えていますので、
ポリープを切除した後の観察は、
翌年にもう一度行うようにしています。

 

翌年の検査でもポリープが見つかることもあり、
やはり2度見ておくことは
意味があるのではないかと思っています。

 

 

インターバルキャンサーか見落としか、
内視鏡を行う医師には、
常にプレッシャーがかかっています。

 

私も開業してから9年ですが、
今のところ私自身が行った検査における、
インターバルキャンサーには出会っておりません。

 

ラッキーな部分もありますが、
やはり丁寧な観察を心がけて行うことが、
とても大切だと思っております。

 

 

 

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