京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
診療時間 午前9時~/夜診17時~
婦人科は夜診なし
休診日 木・日・祝/土(午後)
※令和5年7月より木曜日は
 休診日となりました
  • お問い合わせ

    075-451-0164

医療者の善意と努力に頼った国の医療政策

2020年6月7日

6月に入りすっかり夏の気配ですね。
蒸し暑い毎日ですが、
皆様は如何お過ごしでしょうか?

 

当院の患者様にもふらつきや倦怠感など
熱中症のような症状を認める方もおられます。
特にご高齢の方はご注意ください。

 

 

さて最近関西では
コロナ感染は落ち着きを見せています。

 

昨日は大阪と京都で1名ずつ
感染者が出たようですが、
それまで京都は20日以上ゼロでした。

 

4月の終わりごろに比べると、
私たち医療従事者の緊張やストレスも、
少しは軽減しているのは確かです。

 

ただ関東や九州、北海道では、
依然として感染者が報告されており、
いつ関西、京都で拡大しても
不思議ではない状況が続いています。

 

当院も気を緩めることなく、
引き続き対策を行っていきたいと考えています。

 

 

コロナでは当院も大きな影響を受けていますが、
それよりもっと大変なのでは
コロナを受け入れている病院でなないでしょうか。

 

先日NHKのニュースで、
次のような報告がありました。

 

「新型コロナウイルスの患者を受け入れている
全国の病院の8割近くが4月の収支で赤字になり、
一部の病院では閉鎖することも検討されている。」

 

皆様の中にも、
見られた方があるかもしれません。

 

私も特にこのニュースを聞いて、
驚いたというわけではありません。
逆にそうなることは当たり前だと思います。

 

普段の診療を一部制限して、
コロナ患者受け入れのために設備を整え、
専用の病床と人員を充てたためです。

 

当然収支は大きく崩れ、
診療報酬もままならないコロナ感染者のために、
多くの医療資源をつぎ込んで治療されたのです。

 

未知のウイルスと向き合う現場の混乱や
医療従事者の精神的な負担は、
皆様も想像に難くないと思います。

 

待ったなしの中で後先を考えず、
目の前の患者様や行政の指示に向き合った結果、
多くの医療機関で仕方なく赤字に転落したのです。

 

経営が成り立たなくなると
雇用にも影響が出てきます。

 

それらの病院では経営難のため、
看護師さんの夏季賞与が大幅に減額されたとも
報道されていました。

 

医療従事者の方々は命がけで患者様のために働き、
自分のみならず家族にも感染させてしまうかもしれない
極めて大きなストレスのもとで仕事をされました。

 

中には医療者の差別等の理由で、
現場を去った方がいる中で、
マンパワーも相当厳しかったのではないのでしょうか。

 

それだけ強い使命と責任感で仕事をされた結果が、
賞与の減額ですか?

 

ひどい話だと思いませんか?

 

そのニュースでは、
このようなコメントも出ていました。

 

「もともと利益がほとんど出ない状況の中で、
たった1か月で数年かかっても返せない赤字を
抱えてしまうのは深刻な事態だ。

 

新型ウイルスへの対応や地域での医療活動を続けていくために
国や金融機関などに支援を求めていきたい」

 

当然の要望だと思います。

 

 

そもそも国は増え続ける医療費を抑制するため、
長年社会保障を切り詰めてきました。

 

その結果どこの医療機関も病院も、
ぎりぎりの経営を余儀なくされています。

 

自由診療を主体とする営利目的の医療機関を除き
純粋に保険診療を行う医療機関、特に病院では、
年々経営が厳しくなっています。

 

どれくらい成り立っていないかというと、
消費税が8%から10%に上昇しただけで、
赤字経営になるところが出てくるほどです。

 

なぜ消費税が上がると赤字になるかというと、
診療報酬は基本的に内税だからです。

 

従って消費税が上がっても
医療機関の収入は増えません。
医療材料の仕入れの値段に消費税がかかるので、
その分支出が増えて収支が減少します。

 

「もともと利益がほとんど出ない状況の中で」
というのはそういうことです。
そもそも病院の利益など消費税増税分、
つまり数%ほどしかないのです。

 

そこに今回のコロナです。
多くの病院は大幅な赤字に陥りました。
50%近く落ちたところもあると思います。

 

数%をせめぎあってきた病院にとって、
50%以上の収入減少はある意味、
医療機関としての死を意味します。

 

「たった1か月で数年かかっても
返せない赤字を抱えてしまうのは深刻な事態だ」

 

これは大げさではなく、
間違いなく実情を訴えていると思います。

 

 

国はどうして早急に
手厚くサポートしないのでしょうか?

 

国や行政の要請に対し、
自らの病院経営や医療従事者のリスクをも顧みず
懸命に医療に取り組んで赤字になったのです。

 

国が国の財政を支えるために、
医療機関に厳しい政策をとり続けた結果です。

 

散々締め付けておいて、
有事になっては医療機関の犠牲と努力に甘えながら、
大した保証もサポートもしないのです。

 

コロナ受け入れ病院で命を削って働く
医師、看護師、医療スタッフに対して
あまりにもひどい対応と思いませんか?

 

 

この国の医療の半分は、
医療者の善意や情熱に支えれていると
言っても過言ではありません。

 

世界中のどこを見ても、
このように安価な診療報酬で高度な医療を実現し、
自己犠牲で診療を行っている国はありません。
(と思っています)

 

ある種医師がお金のことを言ってはいけない、
そのようなモラルや風潮が世の中にはあると思います。

 

ただどれだけ努力しても、
お金無しでは成り立たなことも多いです。
特に医療には人件費がかかり高額な機器も多く、
医療技術や治療の変化のスピードも速いです。

 

 

このように医療機関が困窮している中で、
政府が行った対策といえば、
あの「アベノマスク」です。

 

4月1日に発表した時もどうかしていると思いましたが、
それから配布するのに2か月を要し、
非常事態宣言も解除されてからようやく届いています。

 

この事業に260億円です。

 

コロナ受け入れ病院に
1億円ずつでも配ってほしいと思います。

 

また一向に進まない補助金、給付金の問題で、
持続化給付金のトンネル会社の問題。
委託を横流しにして20億円…。

 

命がけでコロナの患者様を助けた
看護師さんや医療従事者のボーナスに
補填してあげてほしいものです。

 

この国の行政は何か予算が付くところには
必ず利権を不当に得られるような団体があり、
国民の税金の一部をかすめ取っているのでしょうか。

 

今回のコロナで見えてくるのは政府の不正、
そして国民の税金を様々な方法で、
自分たちの都合のいいように動かす政治家の姿です。

 

追求されても認めることもしませんし、
誰も真摯に対応することもありません。
悪いことをしている自覚が欠如しているとしか思えません。

 

「さくらの会」「黒川氏の定年延長問題」等、
これが政権内で周到に行われているようであれば
政府のやっていることは犯罪級です。

 

野党も一応追求まではしますが、
首を取りに行くところまでは行きません。
裏でつながっているのでしょうか、
それとも暗黙の了解があるのでしょうか?

 

政治家全体に言えることですが、
与党も野党も「同じ穴のムジナ」
大して信用できる人はいませんね。

 

残念なことですが…。

 

 

早く病院を、医療従事者を救ってあげてください。
現場に丸投げし何もサポートしないのは、
口先だけのこの政府の最大の悪だと思います

 

本来は急につぶれることなどない病院や医院も、
今回ばかりはいくら情熱があっても、
続かないところが出てくるかもしれません。

 

 

吉岡医院  吉岡幹博

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国は現場に押し付けるが、サポートはしない

これまでさんざん抑制し続けた結果

オンライン診療など進めるが

子供には「安倍ちゃんのようになるよ」