京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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猛烈な暑さ、熱中症にご注意ください!

2020年8月17日

お盆休みも昨日で終わりました。
今年はコロナ対策と猛烈な暑さで、
いつもとは違うお盆だったとおもいます。

皆様はどのようにお過ごしになられましたでしょうか。

今年は7月末まで梅雨が長引き、
梅雨明けから一気に夏本番という状況となり、
高齢者の方をはじめ体調管理が難しい状況となっております。

特に先週末からは異常なほど猛烈な暑さが続き、
熱中症の患者様が急増しています。

「熱中症にご注意ください!」と、
ニュースなどでもよく言われております。

しかしどう注意すればいいのでしょうか。

今回のブログでは熱中症の注意点と
その対処法につき簡単にご説明いたします。

 

まずは熱中症という病気が、
どのようなものなのか見ていきましょう。

熱中症は気温・湿度が高い状態の中にいたり、
激しい運動をしたりすることによって引き起こされます。

大量に発汗し体内の水分や塩分が失われたり、
体温の調節機能が効かなくなったりした結果、
発生するさまざま症状をまとめて「熱中症」と呼んでいます。

症状は軽いものから重篤なものまでさまざまで、
軽いものは熱中症と気が付かないこともあります。

熱中症の症状はその内容で重症度が分かれており、
大まかに以下のように分類されます。

・Ⅰ度(軽症)
めまい・失神・・・「立ちくらみ」など
これは脳への血流障害による症状です。

筋肉痛・筋硬直・・・「こむら返り」など
発汗による塩分の喪失により起こる症状です。

これらは「熱失神」「熱痙攣」と呼ばれ、対処法は
「すぐに涼しい場所へ移して体を冷やし、水分や塩分を与える」
ということになっております。

・Ⅱ度(中等症)
頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感など
体がぐったりし、力が入らない状態です。

これらは「熱疲労」と呼ばれ、
病院へ搬送した方が良いとされています。

搬送先で血圧や脈拍、意識状態をチェックし、
必要なら血液検査や点滴を受けます。
この段階であれば症状が改善すれば、
帰宅して経過観察を行います。

・Ⅲ度(重症)
意識障害・けいれん・手足の運動障害など
呼びかけや刺激への反応がおかしい、体が震えひきつけがある、
まっすぐ走れない・歩けないなどの症状があります。

また異常に高体温になり、
からだを触っただけで熱感が伝わることもあります。

これらは「熱射病」と呼ばれ最も重症で、
すぐに救急搬送します。

病院へ搬送された場合の治療も基本的には同じで、
38度以下に体温を下げるように冷却処置を行い、
点滴で必要な成分を補います。

重症化して肝臓や腎臓に障害がみられる場合、
また血液の凝固機能が破綻しDICになっている場合などは、
入院の上状況に応じた対症療法がとられます。

 

このように一言で「熱中症」といっても、
軽症から重症までさまざまで、
特に持病のある方高齢者には命の危険もあります。

また言葉ではわかったつもりでも、
いちいち症状や重症度の分類を覚えていることもできません。
実際のところどのように対応すればいいのでしょうか。

日常生活で気を付けていただく対策を
イラストでご紹介します。


(夏季のイベントにおける熱中症対策ガイドライン2020より)

あまり難しい対処法ではありませんので、
皆様が注意していただければ予防可能と思います。

また屋内では冷房を入れ適切な温度にする。
やはり水分を定期的に摂取するのが大切です。
夜でも必要な時はエアコンをつけましょう。

時々高齢者の方で、暑い中で着込んでいたり、
冷房は体に良くないと思い
つけないで頑張る方がおられます。

その様な方は熱中症になりやすく、
注意が必要です。

 

また、熱中症の疑いの方を発見した時は
どのように行動すればよいのでしょうか。

症状別で難しく考えるのではなく、
下のイラストに沿って行っていただけると
間違いないかと思います。


(夏季のイベントにおける熱中症対策ガイドライン2020より)

ガイドダインから抜粋しましたので、
参考ページなどお示しできておりませんが、
何となくわかっていただけるのではないでしょうか。

熱中症をおこす高温、多湿の環境下で、
なんかおかしい体調がすぐれないなどがあれば、
熱中症をまず考えましょう。

その後は意識障害などがあるか、
自力で動くことができ水分が摂れるかなどで、
救急車を呼ぶか考えてもらうとよいと思います。

 

先日熱中症で来られた患者様は、
高齢の方で日中ずっと自宅の縁側に座って、
直射日光を浴びていたという方でした。

多少の認知症もあり暑さの感覚が鈍っていたようで、
同居する家人がなんかボーとしているということで
連れてこられました。

高温のところに長時間、
水分も摂らずにおられたので、
軽い熱中症になられたのだと思います。

点滴をしてその間涼しい院内で休まれたのち、
症状が改善したので帰宅されました。

 

熱中症は身近な病気で、
ある程度予測することもできますし、
早めの対処で軽症で済む場合もあります。

熱中症の多くは、
熱中症弱者と考えられる高齢者の屋内での発症です。

特に高齢者で一人暮らしの方は、
自覚が乏しいのと発見が遅れるので、
病院に搬送されるケースが多くなっています。

普段大丈夫な方でも、
この時期は家族や介護職員の方の安否確認が
熱中症を未然に防ぐことも多くあります。

皆様の周りにもこのような方がおられたら、
少し注意してみてあげて下さい。
周囲にいるもの同士が、お互いに声を掛け合い、
注意をし合うことが熱中症予防においては重要です。

 

また今年の夏はコロナウイルス対策と、
熱中症対策の両方が必要となっております。

マスクなどを暑い中していると、
熱がこもり体温の上昇につながったり、
呼吸が苦しくなることもあります。

どのように注意すればよいのでしょうか。

 

日本救急医学会などは、
「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた
熱中症予防に関する提言」 を発表しています。

その中では以下のような提言がなされています。

①屋内においては、室内換気に十分な配慮をしつつ、
こまめにエアコン温度を調節し室内温度を確認しましょう。

②マスク着用により、身体に負担がかかりますので,
適宜マスクをはずして休憩することも大切です。
ただし感染対策上重要ですので,
はずす際はフィジカルディスタンシングに配慮し、
周囲環境等に十分に注意を払って下さい。
また口渇感に依らず頻回に水分も摂取しましょう。

③体が暑さに慣れていない時期が危険です。
フィジカルディスタンシングに注意しつつ、
室内・室外での適度な運動で少しずつ暑さに体を慣れさせましょう。

④熱中症弱者(独居高齢者、日常生活動作に支障がある方など)
の方には特に注意し、社会的孤立を防ぐべく、
頻繁に連絡を取り合いましょう。

⑤日頃の体調管理を行い、観察記録をつけておきましょう。
おかしいなと思ったら、地域の「帰国者・接触者相談センター」や
最寄りの医療機関に連絡・相談をしましょう。

(日本救急医学会・日本臨床救急医学会・日本感染症学会・日本呼吸器学会
新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言より)

 

マスクが体の負担になること、
マスクを外す際にはフィジカルディスタンシングに
気を付けるようにといった内容です。

(世界保健機関(WHO)では「身体的、物理的距離」を意味する
「フィジカル・ディスタンシング」と言い換え
ています。
一般的に使う「ソーシャル・ディスタンス」と同じ意味です。)

 

またコロナウイルスの拡大が続いている最近は、
搬送先でコロナのチェックをするのに
相当な手間と時間がかかるようです。

発熱を伴っている場合には、熱中症の症状は、
コロナウイルスによる肺炎の症状にも似ていることから、
胸部のCTなど多くの検査が必要になり、
救急外来の業務を圧迫します。

医療機関の負担を軽減するためにも、
皆様の熱中症予防と早めの対処が、
一層必要となっております。

 

今年の夏はコロナ対策に熱中症対策と、
いろいろ難しい取り組みが必要となります。
皆様もできる限り予防に努めていただければと思います。

 

 

吉岡医院  吉岡幹博