医療法人博侑会 吉岡医院
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行政に振り回されるワクチン接種

2021年5月27日

緊急事態宣言がまた延長になるようです。
もはやあまり緊迫感の無い現状です。
延長してもなかなか終息までは遠いでしょう。

当院の5月のPCR検査では、
GW明けからコロナ陽性者7名の方は、
全員変異株となっています。

恐らく今主流となっている
英国株と思われます。
従来型はもう淘汰されたのかもしれませんね。

続いてインド株が入ってきました。
水際対策などやっているふりだけ、
これからどんどん広まることでしょう。

オリンピックまであと2か月、
この状況で行う意味が分かりません。

緊急事態宣言中でも行うのなら、
オリンピックより小規模などんなイベントも
開催可能ということになります。

強行開催されたとしても、
すべてのアスリートが万全の状態で
戦えるわけではありません。

場合によっては参加しない選手や国が
出てこないとも限りません。

そんなオリンピックに
果たして意味があるのでしょうか。

 

菅総理は高齢者のワクチン接種を
7月中に終えるとの方針を打ち出して、
安全安心なオリンピックに向かうようです。

笑ってはいけません。

打ち終わっているのは高齢者だけなのです。
それを何かの目標を達成したかのように発表し、
ワクチン接種が進んでいるように見せています。

しかし64歳以下の方には、
ワクチンは全く進んでいないのです。
何が安全安心なのでしょうか。

だれも責任を取らないし取りたくない、
安倍政権時代からこの流れは変わっていません。

政権内に一般の常識に沿った正しい判断できる人は
いないのでしょうか。
それとも発言したら職を失うのでしょうか。

どちらもあるのでしょう。

 

 

さて、
日本のワクチン接種は、
世界の中で大きな後れを取っていることは
皆様もご存知の通りです。

その日本の中でも京都のワクチン接種は、
スタートから出遅れていました。
確か出だしは全国で40位くらいだったと思います。

最近は少し持ち直し、
5月23日では6.4%で全国平均の6.1%より、
若干上回っているところです。

 

当院でも高齢者の1回目のワクチン接種は
日々進んでおります。

当初京都市は個別接種を推し進め、
各医療機関に接種の予約から発注から
全てを委任しました。

そのために各医療機関には電話が殺到し、
予約に対し人員や回線を増やしたりできない
小規模な診療所は職員が対応に忙殺されました。

当院も例外ではありません。

お相手は高齢者の方です。
ひっきりなしにかかってくる予約の電話に、
一人ひとり大きな声で丁寧に説明しました。

中には耳の不自由な方や、
こちらの説明がすぐには伝わりにくい方も、
おられたかもしれません。

国やワクチン担当大臣からは
ワクチンで1人分でも無駄にして廃棄するのは
由々しき問題だと伝えられています。

その様な状況ですので、
キャンセルしないよう、
当日日時を間違えないようにと、
独自で注意を書いた用紙を配布したり、
前日に確認の電話を行ったりと、
相当な労力を使って取り組んでいます。

その結果今のところ大きなトラブルもなく、
破棄するワクチンもなく接種が進んでいます。

現時点で1回目の接種が7月中旬まで
予約で埋まっています。

 

このような状況の中でつい先日
京都市の集団接種の日程が遅れて決まりました。

5月20日より集団接種の予約が始まったところ、
起きたのは個別医療機関で予約していた方の、
キャンセルラッシュでした。

当然個別で申し込んだ予約日より、
集団接種の予約日の方が早ければ、
そちらに移られることは考えられます。

苦労して説明して予約をとったものを、
今度はキャンセルの対応に追われるのです。

予約時に自己都合のキャンセルは、
極力控えるようにお願いしておりました。
でもキャンセルはある意味仕方なしです。

どなたも1か月待つくらいなら、
来週にも打てるのであれば集団接種で
予約を取りたいと思います。

しかし医療機関側としては、
1バイアル6人を1組で予定を立てているところが
人数が端数になってしまいます。

今度はその枠を埋めなければなりません。
ワクチンを無駄にすることは、
今の状況では許されないからです。

もし京都市の集団接種の予約開始日が5月20日でなく
4月末の個別医療機関の予約開始日に合っていれば、
もっとスムーズに行っていたのだと思います。

このような事態は想定できたはず、
京都市の対応の遅れが混乱を招く結果となっています。
当初全国40位となった所以でしょう。

しかしこれだけでは終わりませんでした。

 

昨日のことです。
京都市は医師会でのオンラインの説明会で、
突然7月10日までには高齢者の1回目の接種を
終える方針を示しました。

そのために京都市は、
これまでのワクチンの予約方法を
根本的に変更すると発表しました。

 

これまではご自身で医療機関を探して予約していたのが、
今後は行政のサイトに登録し、
行政が医療機関に振り分けるようになるのです。

つまり予防接種の予約は各医療機関で行うのではなく、
行政が管理する方式になったのです。

ただしかかりつけの方は、
これまで通りかかりつけ医での予約を
することはできます。

 

高齢者の1回目の接種を7月10日までに終える、
今までこんな方針は全く示していませんでした。

当院では7月17日ごろまで、
他の医療機関では多いところで
8月ころまで予約を取っていたところがあります。

行政は既に個別医療機関で予約済みの方まで、
予約をキャンセルしてもいいとの案内を出し、
7月中に打てるように振り分けるつもりです。

従って、
7月10日以降にも予約を取っていた医療機関には、
今後キャンセルの連絡が来るかもしれないのです。

これからは行政が予約を管理してくれるので
こちらとしては助かりますが、
今までの努力のことを考えると気持ちは複雑です。

 

最初からそうすればよかったのです。

そうなれば我々も日々コールセンターのような
状況にならなかったことでしょう。

因みに電話がどれくらいすごかったかというと、
当院のフリーダイヤルの件数を調べてみると、
今月は一昨年の同月の電話件数の、
10倍もの電話がかかってきていました。

当院は通常の固定電話とフリーダイヤルがあるのですが、
フリーダイヤルだけで5月GW明けから本日まで、
580件の電話がかかっていました。

例年ですと50件から多くて100件です。
インフルエンザワクチンで一番多い時でも、
月に280件程度です。

フリーダイヤルだけでこの件数ですので、
固定電話の番号でかけてこられた方を入れると、
倍以上になると思われます。

となると今月約3週間の間に
1000件以上の電話が鳴っていたことになります。
これはとても裁ける件数ではありません。

回線が2つあるのですが、
ほぼいつも2名が電話対応に当たっていました。
こちらから電話をするのもままなりません。

もちろん電話がつながらない状態になりますので、
要件を手書きしてFAXで連絡された方もおられます。
それだけ当院にとっては異常事態だったのです。

 

京都市は当初からコールセンターの開設を、
恐らく人員配置などの財政難を理由に、
その役割を個別医療機関に投げたものと考えられます

しかし個別医療機関など
京都市と比にならないくらい財政難です。

昨年の11月には「コロナの発熱者の窓口」を、
保健所から個別医療機関に移管し、
その時も電話が多数かかってきて大変でした。

それに加え今回はワクチンです。

通常の診療に対する問い合わせ、
コロナの発熱外来に対する問い合わせ、
そしてワクチンに対する問い合わせ。

医療機関が短期間に人員を増やし、
増え続ける電話対応にあてがうなど、
機能的にも経営的にも不可能です。

ワクチンの予約の受付にしても、
本来は行政が率先して始めないといけないところを、
個別医療機関にさせたものですから、
全国でも大きくスタートが出遅れたと思われます。

その後は各医療機関の頑張りもあり、
全国平均まで押し上げたのだと思いますが、
その分我々も大きな労力を払っています。

 

ワクチン接種では皆様に、
いろいろご不便をおかけしているかもしれませんが、
当院は職員が協力して何とか実施しています。

受付のみならず看護師も、
ワクチンでは管理や準備と接種者の安全に
相当な神経を使っています。

そのために職員が疲弊しているのは確かです。
何とか使命感と地域のために頑張ってはいますが、
限界も見えてきました。

当院にとって職員は何よりも大切です。
それぞれの個性や能力を発揮し頑張ってくれるので、
当院の医療は成り立っています。

 

今後もこのような状況が続き、
残業や過労による職員の健康状態に支障が出るなら、
医療サービスの提供を制限せざるを得なくなります。

実はそのような状況まで追い込まれています。

 

通常のワクチンより副反応の多いワクチンを、
「密にならないように人数を調整しなさい」
「接種後は15分から30分院内で経過観察しなさい」
「決して端数が出ないように使い切りなさい」

且つ、
「もっと接種人数を増やしなさい」

個別の医療機関には酷な話です。
待合のスペースも広くありません。
マンパワーもありません。

なら最初から集団接種でやればいいのです。

広い会場を使えば密にならない、
一気に多くの人に打てば端数はほとんど出ない。
1か所に多くの接種者と医療資源を投入すれば、
おのずと効率が上がるでしょう。

 

役所の方々も日々対応に追われていることは
想像に難くありません。
どこも今は大変な時と思います。

ただ京都市がよく口にする
「財政難でできない」

これは京都に生まれ京都で育った人間には、
いささか情けない思いがいたします。

財政難だから個々の医療機関で何とかやりくりを…。
その様な医療に関する出来事が、
決してワクチンだけでなくあると思います。

このような状況ですので、
資源を効率よく無理なく分配できるといいですね。
まだまだ長い道のりは続きますので。

 

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