京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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その症状は本当に過敏性腸症候群でしょうか?

2022年10月27日

早くも10月も終りに差し掛かり、
今年も残すところ2か月少しとなりました。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。

インフルエンザワクチンの季節となりました。
今年はコロナワクチンも加わり、
医院としては少しせわしくなってきました。

何とか年末まで事故の無いよう、
集中力を高めて診療にあたりたいです。

 

 

さて、
皆さんは過敏性腸症候群という病気を
ご存知でしょうか。

過敏性腸症候群は、お腹の痛みや調子がわるく、
それと関連して便秘や下痢などのお通じの異常が
数ヵ月以上続く状態のときに考えられる病気です。

日本における有病率は10~20%と報告されています。
社会の複雑化、ストレスの増加に伴い、
その症状で悩む人が多く注目されています。

有病率は10~20%ですので、
患者さんの数が非常に多い病気です。
当院でもこの患者さんが来ない日はないくらいです。

 

この病気は症状が非常に多彩なので、
他の腹痛を伴う多くの病気も見方によっては、
過敏性腸症候群と考えてしまいます。

従って過敏性腸症候群と診断するには、
CTや大腸カメラで異常がないということが、
診断の上では重要になってきます。

 

 

以前このような患者様がおられました。
30代後半の男性で左の下腹部痛があり、
下痢が出ると痛みが軽減するということでした。

もともと学生の頃からお腹が弱いとのことで、
30代と年齢も若いことより過敏性腸症候群と考え、
内服での治療を開始しました。

2回ほど通院され良くなったのか、
その後来院されなくなりました。

そしてまた同じ症状で受診されました。
前回受診から1年近くたっていましたが、
症状だけでは過敏性腸症候群と変わりません。

今回もお薬で少し症状は改善しましたが、
一度大腸カメラをすることとなりました。

その結果S状結腸に、
腸管内を閉塞するほど進行した
大腸癌が見つかりました。

すぐに病院に紹介し、
手術で切除をしてもらいました。
幸い転移もなく切除可能な状況でした。

 

30代後半で腸閉塞手前の進行がん見つかるということは、
もともとの癌ができはじめたのは、
もっと前の30代の中頃だと思います。

20代から過敏性腸症候群のような症状があり、
その症状と変わりなかったことを考えると、
いつから癌による症状に変わったのかわかりません。

最近出てきた症状であれば、
何か新たな病気になった可能性を考え検査を勧めると思いますが、
以前からの症状となれば判断は難しくなります。

 

この方から学ぶこととしては、
30代で若いからと言って検査を省略しては
いけなかったということです。

過敏性腸症候群と考えている方の中には、
必ず大腸がんの方が混ざっています。

しかし過敏性腸症候は10代から認める病気であり、
全員に大腸カメラをするわけにもいきません。

では何歳くらいから検査を勧めるのか。

一つの目安は40歳からだと思っています。
しかし今回のケースのように
30代の方にでもまれに癌は見つかります。

 

腹痛、下痢は本当によく診る症状です。

多くは過敏性腸症候群に見られる症状ですが、
大腸がんや潰瘍性大腸炎などの可能性を考え、
一度は大腸カメラを行う必要があると思われます。

皆さんもこのような症状がある方は、
検査を考えてみられてはどうでしょうか。

 

 

吉岡医院  吉岡幹博