京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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胃のポリープの多くが経過観察となる理由

2023年6月7日

梅雨前線に台風が加わり、
不安定な天候が続いておりますが、
皆様いかがお過ごしでしょうか。

コロナ感染が少し拡大しているようです。
医院でも今月に入りコロナ陽性の方が多くなっています。
皆様も少し警戒レベルを上げられてはどうでしょうか。

 

 

さて今回は、
胃のポリープにつていのお話です。

胃カメラで胃のポリープが見つかることは、
決して珍しいことではありません。

しかし胃のポリープの場合、
見つかってその場で
検査や治療をすることは多くありません。

患者様からも、
生検したり切除したりしなくて大丈夫ですか?
と聞かれることもあります。

 

大腸のポリープは多くの場合治療の対象になり、
検査の時にその場で治療するのですが、
確かにそれとは対照的です。

今回はどうして胃のポリープは、
治療しなくてよいのかという疑問について
簡単にお答えします。

 

まず胃ポリープとは
「胃に発生する上皮性、良性、隆起性病変」
のことをいいます。

胃のポリープは、過形成性ポリープ、胃底腺ポリープ、
特殊型(炎症性、症候性、家族性)、腺腫などに
分類されます。

その中でも多くみられるのは
過形成性ポリープと胃底腺ポリープです。

 

過形成性ポリープは概ねピロリ菌に感染している
萎縮性胃炎のある胃に発生します。

ピロリ菌を除菌すると、
ポリープが縮小もしくは消失したとの報告もあります。

過形成性ポリープは稀にがん化することがあり、
年に1回程度の胃カメラが必要と考えられますが、
基本的には治療ではなく経過観察が可能です。

 

また胃底腺ポリープは
ピロリ菌が陰性のきれいな胃に発生します。

近年はピロリ菌感染者の減少で、
検査時に遭遇する機会が多くなっています。

胃底腺ポリープでの癌発生例も報告されていますが、
その頻度は極めて低く、原則処置は不要です。

 

従って胃ポリープが見つかった場合、
一般的には過形成ポリープや胃底腺ポリープの頻度が多く
がんに進展する確率は低いと考えられます。

過形成ポリープや胃底腺ポリープは、
内視鏡で観察しただけで概ね診断がつくため、
検査や治療することが少ないのです。

 

では治療を要するポリープが見つかった場合、
その場で切除を行うかということですが、
胃のポリープの切除は通常入院で行われます。

術後の潰瘍形成や出血のリスクもあり、
絶食が必要となることが多いためです。

そのため大腸ポリープのように、
その場で治療まで行うことは稀です。

 

ポリープ切除の適応についてですが、
過形成性ポリープも基本的には経過観察でよい病変です。
胃底腺ポリープの処置は原則不要です。

まずは大きさ2cm以上で増大傾向を認めるもの、
腺腫などがん化(がんの併存)の可能性があるもの、
出血し貧血の原因となるものを切除の適応と考えます。

抗凝固薬、抗血小板薬を服用している方は、
切除時に出血することもあり、
切除の適応を慎重に決定します。

 

 

吉岡医院  吉岡幹博