京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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過敏性腸症候群に使うお薬について

2024年5月17日

5月の爽やかな季節が続いていおります。
これから梅雨の時期までが、
最も過ごしやすい時期ではないでしょうか。

この時期が延々と続けばいいのに…、
と思う今日この頃です。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。

 

 

さて今日は、
過敏性腸症候群に使用するお薬について、
最近の事情を踏まえお伝えいたします。

ご存知の方もおられるかもしれませんが、
過敏性腸症候群によく用いていた、
セレキノンやトランコロンというお薬。

この数年のうちに製薬メーカーが
製造を中止しました。

理由ははっきりとは聞いていませんが、
恐らく薬価が下り製造費用のバランスが付かず、
供給できなくなったのだと思います。

この2剤は私が過敏性腸症候群で使用する、
1番と2番のお薬でしたので、
この2剤がなくなるのはかなり痛手でした。

将棋に例えて言うと、
飛車、角抜きで戦うような気持であり、
有効な薬が限られている中心細さを感じます。

 

セレキノンもトランコロンも
ある意味オールラウンドプレーヤーでした。
多くの症状にひとまず使うことができました。

今は最初から症状に合わせて
お薬を選んで出しています。

 

まず腹痛がメインであれば、
「桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)」を
出しています。

この薬は、
腸が下痢する前のようにキリキリ痛むのを
和らげるお薬です。

「桂枝」というのはシナモンのことで、
中枢神経系の興奮を鎮静し、水分代謝を調節し、
鎮静、鎮痛、抗ストレス効果があるとされています。

つまりイライラしてお腹が痛くなっているときに、
リラックスして症状を緩和させる作用があります。

「芍薬」は鎮痛鎮静・筋弛緩・抗けいれん・
血管拡張・抗炎症など幅広い効果が報告されており、
筋肉のこり・腹痛・胃けいれん・下痢などに使用されます。

「桂枝加芍薬湯」は精神的にリラックスをさせながら、
腸の緊張を解く効果があり、
過敏性腸症候群の腹痛に有効です。

ただ難点は漢方薬ということです。
漢方薬は普通の錠剤では処方薬は無く、
粉か小さな粒の丸薬になります。

若い方では飲むのが苦手な方もおられます。

また飲み方が食前、食間と、
多くの薬が食後に飲みのに対し、
内服のタイミングが異なります。

そのあたり若干の使いにくさはありますが、
効果はそれなりに期待できる薬です。

 

過敏性腸症候群には、
下痢型、便秘型、混合型と
3つのタイプがあります。

下痢型の場合は整腸剤、
当院ではミヤBMがよく使われます。

便秘型には酸化マグネシウムが有効です。

では便秘と下痢を繰り返す混合型には、
何をを使えばよいでしょうか。

ここでよく使うのが、
コロネル(ポリフル)です。

このお薬は胃内の酸性条件下で
カルシウムを脱離してポリカルボフィルとなり、
小腸や大腸等で吸水性を示し、膨潤・ゲル化します。

下痢及び便秘には消化管内水分保持作用及び
消化管内容物輸送調節作用により
効果を発現すると考えられています。

何のことかわからないと思いますが、
便秘で便が硬い時は水分を増やして柔らかくし、
下痢気味の時にはゲル化して有形便にします。

イメージ通りに行かないこともありますが、
混合型にも使える有効なお薬は、
コロネル以外ではあまり考えられません。

 

ということで、
現在私が過敏性腸症候群に使用する薬は、
主に桂枝加芍薬湯とコロネルです。

他は便秘の薬、下痢の薬を組み合わせながら、
症状に合ったのものを探しています。

 

それにしても普段使うお薬が、
ある日使用できなくなるとことが
最近とても増えてきました。

国はしっかりとした薬価見直しを行い、
必要なお薬が安心して使える当たり前の医療環境を
整えていただきたいと思っています。

 

吉岡医院  吉岡幹博