2024年9月27日
厳しい残暑も一段落し、
朝晩は少し過ごしやすくなってまいりました。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。
季節の変わり目です。
コロナもまだまだ続いています。
風邪などをひかないようお気を付けください。
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さて今回は、
最近はニュースでも頻回に登場するようなった
AIについてのお話です。
人工知能(AI)を搭載したシステムやサービスが、
徐々に私たちの生活を変えていることは
皆様もご存じの通りかと存じます。
そしてその応用は医療分野でも
すでに多く利用されています。
どのような場面で利用されているのか、
実際には私にも知識が十分にはありませんので、
代表的で身近なAIであるChat GTPで尋ねてみました。
『医療分野で利用されているAIを箇条書きで教えてください』
回答です。
医療分野で利用されているAIの主な応用は以下の通りです:
- 画像診断
- X線、CT、MRI、超音波、内視鏡画像などの解析。
- がんや疾患の早期発見の支援。
- 病理診断
- 組織スライド画像の解析によるがんや異常細胞の検出。
- 内視鏡検査
- ポリープや早期がんを次々に検出する技術(CAD-E)。
- 放射線治療の計画
- 腫瘍の位置や形状を正確に把握し、最適な治療計画を立てる。
- 電子カルテ(EHR)とデータ解析
- 患者データを解析し、予後や予測治療の最適化を支援します。
- 新薬開発
- 化合物データやゲノムデータを解析し、新薬候補を発見。
- 遠隔医療
- AIチャットボットや診断支援ツールによる症状の評価と治療の提案。
- ロボティック手術
- 手術支援ロボットによる精密な手術手術のサポート。
- 予防医学と健康管理
- ウェアラブルデバイスのデータ解析によるリスク評価と予防支援。
これらのAI技術は、医療の精度向上や効率化に大きく貢献しています。
ということです。
一瞬にしてこれだけの情報を抽出するので、
人が自力で調べる必要はもうなさそうですね。
そして今回は当院に初めてAIによる
画像解析の設備が入りました。
対象となるのは胸部レントゲンです。
胸部レントゲンは大昔からある画像診断ですが、
健診や一般の臨床で現在でも使用されています。
シンプルな検査ではありますが、
その読影は決して簡単ではありません。
肺がんなどの結節影、
肺炎などの浸潤影、
後は心臓の異常や肺がしぼむ気胸など、
読影には様々な知識と経験が必要になります。
この影が異常な陰影なのか、
また癌を疑う必要があるのか、
悩むことも少なくありません。
また見落としという可能性もあります。
肺がんなど悪性疾患の見落としだけは、
可能な限り避けたいと思っています。
放射線科や呼吸器科の先生と比べ、
やはり専門外の医師は読影の機会が少ないので、
レントゲン像の診断能力に差があると思われます。
私も常に意識を集中しながら読影しますが、
果たしてそれで正しく診断できているのか、
画像によっては正常か異常か判断に苦しむこともあります。
そこで今回胸部レントゲンに対する、
AI診断システムを導入しました。
検出可能病変は、結節・腫瘤影+浸潤影です。
結節・腫瘤影は主に肺がんなどを示唆し、
浸潤影は肺炎などの炎症を疑う所見です。
感度は80%~83%で程ですので、
擬陽性の病変ももちろんそれなりに含まれます。
ただ自分では気づいていない
病変を指摘されれることで、
やはり見落としが減ると思われます。
実際のレントゲン写真で試してみました。
同じレントゲンですが、
後の写真には白い○がついています。
AIが病変と診断したところです。
これは腫瘤影ではなく浸潤影を拾っていますので、
癌を疑う病変ではなく精査は行いませんが、
注目すべき点を指摘してくれるので助かります。
またAIが異常と認識しなかった画像には、
印が付きませんので、それはそれで安心できます。
そして頼もしいことに、
AIが症例数を増やし学習するたびに、
精度が向上していくということです。
それは人が経験できる症例数を
はるかに上回るものです。
現時点では胸部レントゲンAI補助診断に対する、
保険収載は行われておりません。
つまりシステム導入コストは医療機関の持ち出しになります。
しかし大腸ポリープの検出するAIなどでは、
ごくわずかではありますが保険点数が
ついている機器もあります。
今後この分野が
医療の姿を変えると思われます。
近い将来、
「昔はAIも使わずに内視鏡で診断していたんだって」
という時代になるかもしれませんね。
吉岡医院 吉岡幹博