2025年11月27日
早いもので12月も間近となり、
街はクリスマスの景色になってきました。
当院でも昨日クリスマスツリーを飾りました。
寒さもまし空気も乾燥してきました。
インフルエンザの患者様が急激に増加しています。
今回のインフルエンザは症状がきついですね。
皆さん40度くらいでていて、
ふらふらになっている方も少なくないです。
ワクチンまだの方、
早い目に打っておいてください。
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さて今日は、少し真面目な健康のお話です。
「大腸がん検診と大腸カメラ」についてです。
でも難しい話ではありませんのでご安心ください。
大腸がんは、今では日本でとても多い病気です。
しかし恐れるだけの病気ではありません。
“予防できるがん”として、しっかり対策がある病気なのです。
そのカギとなるのが、
腸の中にできる小さなポリープ。
この段階で見つけて取ってしまえば、大事には至りません。
この段階で発見するには
どうすればいいのでしょうか。
まず多くの健診では、便潜血検査を行います。
便に血が混じっていないか調べる、あの検査です。
40歳以上の方で、受けたことがある方も多いと思います。
簡単で負担も少なく、
手軽に受けられる点ではとても優秀な検査です。
しかし、大切な注意点があります。
便潜血検査が見ているのは「出血」だけ。
つまり、血が出ていなければ陰性となります。
実際のところ、
小さなポリープはほとんど出血は起こりません。
ましてや早期のがんでも起こるとは限らないのです。
陰性=何もない、と言い切れない理由はここにあります。
まだ小さく、出血していない段階こそ見つけたいのに、
その段階では引っかからないことが多いのです。
では逆に検査で陰性なのに、
大腸カメラをしなくてはならないのでしょうか?
何か矛盾している気がしますね。
「陽性になったら受けます」と言いたくなります。
でも陽性になる頃には、
ポリープが育ち、がんになっている可能性もあります。
つまり便潜血が陽性になってからでは、
前がん状態、早期のがんを見逃す可能性があり、
検査をしたときにはがんが進行していることだってあるのです。
そこで今まで便潜血検査のみで、
大腸カメラを受けたことのない方は、
一度便潜血陰性でも大腸カメラを受けてもらいたいと思います。
直接腸の中を見られるため、
小さなポリープが見つかることも少なくなく、
必要であればその際に切除できます。
これによりひょっとすると10年後に、
知らない間に大きながんとなって発見されていたものを、
最も簡単な方法で回避できた可能性があるのです。
症状だけではなかなか見つけることができません。
見つかった時には大きな手術、抗がん剤の治療、
場合によっては命にかかわることだってあります。
そういう意味で、
未来の人生を変えることのできる検査ということができ、
それができるのが大腸カメラのすごいところです。
研究でも、大腸カメラを受けた方は、
受けなかった方に比べ、
大腸がんの死亡リスクが下がることが分かっています。
これは非常に信頼できる、強い根拠ですので、
便潜血陰性でも一度は大腸カメラを受けておく。
この考え方は、とても合理的です。
特に40代後半〜50代以上の方や、
家族に大腸がんの方がいる場合などは、
「結果に関わらず一度」という姿勢が安心につながります。
私も実際に40歳で初めて大腸カメラを受け、
小さなポリープを見つけてもらいました。
その頃は入院が必要で小さかったので切除は行いませんでした。
少し時間がたってしまいましたが、
45歳で2回目の大腸カメラを受け、
その際には前回発見されたポリープを切除しました。
50歳で再検査を受け、
新たな病変は認めませんでした。
現在52歳ですので、
3年後にまた受けようと思っています。
症状がないうちに動く。
面倒に感じても、ちょっと勇気を出す。
そうした小さな一歩が、未来の安心になります。
この際思い切って受けてみたい、
または相談したいと思われた方、
一度お話を聞きに受診なさってください。
吉岡医院 吉岡幹博