2025年11月17日
11月も中旬となり、今年もあと1か月半。
紅葉が美しくつい足を止めたくなる季節です。
ただ年末が近づくと、気持ちはせわしくなりますね。
インフルエンザが猛威を振るっております。
コロナも押されてはいますが時々出ています。
風邪の患者様が急激に増えています。
いまさらと思われるかもしれませんが、
人ごみの中に出られる際には、
マスクの着用をお願いいたします。
またインフルエンザワクチンも、
来院いただければすぐにでも打てますので、
まだの方はなるべく打つようにしてください。
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さて、先日、
NHKの「あしたが変わるトリセツショー」という番組で、
帯状疱疹の特集が放送されました。
見られた方もおられますでしょうか。
そしてその翌日には、
当院でも帯状疱疹ワクチンについて、
数名の方から相談を受けました。
テレビの力はすごいです。
ですが、それだけこの病気が、
注目されているということでもあります。
今回のブログではもう一度、
その帯状疱疹という病気について何が怖いのか、
そして予防法としてのワクチンについてご説明いたします。
▶ 帯状疱疹とはどんな病気?
帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルスが再び暴れ出す病気です。
子どもの頃にかかった水ぼうそう、そのウイルスが、
実はずっと体の神経の奥で眠っているのです。
疲れやストレス、年齢による免疫低下で、
そのウイルスが「そろそろ出番かな?」と再び目を覚まします。
すると、皮膚の一部に痛みと発疹、水ぶくれが帯状に現れます。
▶軽症なら通院治療で回復も
帯状疱疹には抗ウイルス薬の治療薬があります。
発症初期であれば内服での通院治療で改善するケースも多く、
しっかり服薬すれば、ほとんどの方は回復します。
ただし、「様子を見よう」と数日放っておくと、
痛みが長引いたり、後遺症が残ることもあります。
やはり早めの受診が何より大切です。
そして、最も厄介なのが「神経痛」です。
皮疹が治っても、神経の痛みが残ることがあります。
これがいわゆる「帯状疱疹後神経痛」です。
衣服が触れただけで痛い、夜も眠れない、そんなこともあります。
数か月から何年も続くこともあり、
生活の質(QOL:Quality of Life/生活の満足度)が大きく低下します。
この状態になってしまうと、本当に苦しいです。
この「帯状疱疹後神経痛」こそが、
帯状疱疹になることで最も恐れられていることです。
帯状疱疹自体は抗ウイルス薬で治るのですが、
この神経痛だけは治療法がありません。
▶だからこそ、発症しないことが一番の予防
治療も大事ですが、最も大切なのは予防です。
そのための有効な手段がワクチン接種。
現在、日本では2種類の帯状疱疹ワクチンが使えます。
▶不活化ワクチンと生ワクチン
1つは不活化ワクチン(シングリックス)。
もう1つは生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」)です。
こちらは子供に使う水疱瘡ワクチンと同じです。
不活化ワクチンと生ワクチンの違いを簡単に説明します。
不活化ワクチンはウイルスを分解して作ったワクチンです。
ウイルスは生きていないので、安全性が高いです。
免疫の弱い方でも接種できます。
生ワクチンはウイルスの力を弱めただけで、
「生きたまま」使うワクチンです。
1回の接種で済みますが、効果はやや弱めで、持続も短めです。
免疫が落ちている方(抗がん剤治療中など)は接種できません。
不活化ワクチンは2回接種が必要ですが、効果は9割以上、
10年ほど続くといわれています。
一方、生ワクチンは効果は約半分、持続期間も5年ほどです。
また生ワクチンは免疫の弱い方や
抗がん剤、ステロイドなど治療中の方には使えません。
つまり免疫状態が正常の方のみ使えるワクチンです。
▶不活化ワクチンをおすすめする理由
まず当院での費用についてです。
● 不活化ワクチン乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス)
22,000円/1回×2回
不活化ワクチンは2回接種のため、計44,000円となります。
● 生ワクチン:乾燥弱毒生水痘ワクチン(ビケン)
9,900円1回のみ
不活化ワクチンは2回で4万円4千円と高価ではありますが、
10年もつと考えれば、1年あたり4千円。
インフルエンザワクチンと大差ありません。
しかも、帯状疱疹を発症した場合、
薬代・通院費・そして痛みとの闘いを考えると、
私は未来のことを考えると必要な費用と思います。
▶公費助成の対象と注意点
京都市の帯状疱疹ワクチンに対する
公費助成の内容についてご説明いたします。
次の(1)~(4)のいずれかに該当する京都市民の方。
(1) 当該年度に65歳になる方
(2) 満60~64歳の方で、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害があり、日常生活を極度に制限される方。
(3) 当該年度に70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる方
※ 令和7年度~令和11年度までの経過措置
(4) 当該年度に101歳以上になる方
※ 令和7年度のみの措置
京都市では、65歳・70歳・75歳など
65歳から全員ではなく5歳ごとの方が助成対象です。
それなので4年ほど待たないといけない方もおられます。
また不活化ワクチンは2回接種。
2回目は1回目の2か月後に打つ必要があります。
つまり、3月末までに公費助成で2回完了させたい場合、
1回目を1月中に接種しておく必要があります。
このタイミングを逃すと、2回目が公費対象外になってしまいます。
生ワクチンは1回で済みますので、
年度末までに打っていただければ大丈夫です。
公費助成の費用(京都市は自己負担が大きい)
● 生ワクチン接種の場合 4,000円(自己負担金)
● 不活化ワクチン接種の場合 18,000円(1回あたりの自己負担金)
不活化ワクチンは2回接種のため、計36,000円となります。
生活保護等受給者の方は無料となります
▶他のワクチンとの関係
インフルエンザやコロナワクチンとの同時接種も可能ですが、
不活化ワクチンの方は結構副反応が強いワクチンですので、
できれば分けて打ったほうがいいと思っております。
同時に打たない場合は、2週間ほどあければいいでしょう。
生ワクチンどうしでは4週間以上間隔を取りますが、
インフルとコロナワクチンは生ワクチンではありませんので、
少し間隔を開ければ問題ありません。
スケジュールが込み合う時期ですので、
接種ご希望の方は受付で一度ご相談ください。
▶今後さらに増えていく可能性
帯状疱疹は、これから増える病気だと考えられています。
高齢化が進み、抗がん剤や免疫抑制剤を使う方も増えています。
さらに、子どもの水ぼうそうが減り、
大人が自然にウイルスに触れて免疫を維持する機会も減っています。
つまり、大人がかかりやすい時代になっているのです。
▶私自身も接種を済ませました
50歳以上の方なら、自費でいつでも接種が可能です。
私は50歳のときに、シングリックスを2回接種しました。
正直、注射は好きではありませんが(笑)、
終わったあとの安心感は大きいです。
費用は高いですが、それに見合うだけの効果があります。
▶最後に
帯状疱疹は、誰にでも起こりうる身近な病気です。
治療はできますが、できれば発症しないように予防するのが一番。
今年、公費助成の対象となっている方はもちろん、
助成の年齢にまだ達していない方も、ぜひ早めの接種を検討してください。
65歳以上で公費の対象まで数年ある方。
残念ながら京都市の助成費用はあまり多くありません。
従って自費で早めに打つということも選択肢になるかと思います。
またご検討いただければと思います。
吉岡医院 吉岡幹博
▶ 詳しくはこちら
吉岡医院の予防接種ページ(自費診療)
高齢者帯状疱疹ワクチンの定期の予防接種について(京都市情報館)
今話題の帯状疱疹ワクチンについて(当院ブログ:2021年11月17日)