京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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機能性ディスペプシアの症状について

2019年5月17日

5月も中旬となり、
少しずつ夏を思わせる日差しも
感じられる今日この頃です。

 

令和になり半月が経ちました。
令和という言葉も少しずつ使い始めましたが、
なかなかすぐには慣れないものですね。

 

令和元年?令和1年でもいいのか?
Rで表記するなら1の方がしっくりくるかな?
元年は書くのが少し面倒だな・・・。

 

色々出てきます。

 

「令和」もさることながら、
「元年」という言葉にも戸惑いがあることに
最近気がつきました。

 

皆様はどうでしょうか?

 

 

さて、
今回は機能性ディスペプシアの、
症状について考えてみます。

 

皆様は
「機能性ディスペプシア」という言葉、
ご存知でしょうか?

 

機能性ディスペプシアは
機能性胃腸症ともいわれます。
英語では「functional dyspepsia」
略して「FD」と呼んでいます。

 

ディスペプシア(dyspepsia)という言葉は
あまりなじみのない英語ですよね。
日本語訳もあまりピンときたものがありません。

 

dys-は「障害、悪い」、pepsiaは「消化、胃腸」
などの意味があるそうですので、
日本語では胃腸が悪い、消化不良などを
表現していることになります。

 

さてこのFDは、
いったいどのような病気かといいますと、
胃カメラをしても特に異常はないが、
胃に関係した症状があることを言います。

 

胃カメラで見つかる病気は、
慢性胃炎や胃潰瘍やポリープ、
そしてがんなどがありますね。

 

それらがあって胃の調子が悪くなる、
それはごく当たり前のことですが、
そういう病気はまとめて器質的疾患といいます。

 

それに対して機能的疾患は
器質的疾患がなく見た目が正常でも、
うまく動かないというイメージです。

 

FDの症状には様々なものがあります。

 

胃の不快感、胃の張り、食後の胃もたれ、
重い感じ、差し込むような痛み、鈍い痛みなど、
主に上腹部で起こる症状がほとんど含まれます。

 

これらの多彩な症状は、
RomeIII(ローマ3)という診断基準では、
大きく2つのグループに大別しています。

 

①食後愁訴症候群

②心窩部痛症候群

 

①の食後愁訴症候群には、
主に食事をとった後に起こる
食後のもたれ感や、
すぐにおなかがいっぱいになるなどの症状が
含まれています。

 

また②の心窩部痛症候群には、
みぞおちの痛み、灼熱感など、
食事とは関係のない症状、
どちらかといえば胃の痛みが含まれます。

 

従って診察室では、
患者様の症状をお聞きしながら、
漠然とどちらのグループに近いか、
考えています。

 

例えば診察中に、

 

「その症状は、食事と関係ありますか?」
「食後に胃もたれはありますか?」
「胸やけしますか?」
「キリキリした痛みが続いていますか?」

 

などと聞いているのは、
どちらのグループの症状にあたるかを
判断するためです。

 

もちろん両方の症状のある方もおられますし、
どっちかはっきりしない場合もあります。

 

症状が
①の食後愁訴症候群と判断されれば、
主に胃の動きをよくするお薬を処方します。

 

また②心窩部痛症候群に分類されれば、
胃酸をしっかり目に抑えるお薬や、
胃の緊張をとるようなお薬を選びます。

 

従って患者様に症状をお聞きし、
その症状に合った投薬をするのは、
意味のある事だと考えていました。

 

ところが最近の研究で、
腹部症状を含めた多くの「機能的疾患」には、
遺伝子が関与していることが分かってきたそうです。

 

それによると
食後愁訴症候群も心窩部痛症候群も、
関係する遺伝子は似ているそうです。

 

また研究によると、
実は食後愁訴症候群の患者様にも、
心窩部痛症候群の患者様にも、
胃で起こっていることはほぼ同じではないか
と考えることもできるそうです。

 

それは最終的には、
その体から送られてきた症状の信号を
脳で感じるときの感じ方の違いではないかと
考えられているそうです。

 

同じ胃腸障害が起こっても、
人によっては胃もたれと感じるところ、
別の方はみぞおちの痛みと感じている
可能性があるというのです。

 

ということは、
上記の食後愁訴症候群と心窩部痛症候群は、
わざわざ分けて考えなくても、
起こっていることは同じということになりますね。

 

それであればこの病気はとてもシンプルです。
治療法や必要なお薬も
より明確になると思われますが、

 

実際のところは遺伝子も原因の一部でしかなく、
胃酸、ピロリ菌感染の有無、精神的因子、
食事・生活習慣、胃の形状などたくさんの要因が
FDにはかかわっているとされています。

 

従って同じ治療をしても、
うまくいくこともいかないこともあり、
目に見える病気を治しているのではないことより、
その方に応じた治療が求められます。

 

 

 

FDの場合日頃から慢性的に感じる方、
疲れたりストレスが強くかかったときに
症状が出てくる方様々です。

 

現時点ではその方のそれぞれの症状にあった、
治療が求められています。

 

皆様もFDと思われる症状の時には、
一度消化器内科でご相談されてください。

 

 

吉岡幹博