2025年10月17日
10月も中旬となり、
少しずつ秋の気配が深まってまいりました。
ようやく過ごしやすい時期となりましたね。
風邪の患者様が増えております。
季節の変わり目でもありますので、
皆様も夏のお疲れが出ないよう体調管理に努めてください。
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最近、診療の中で
「先生があまり話してくれなかった」
「看護師さんだけで説明が終わった」
そんなお声をいただくことがあります。
たしかに昔の外来では、
医師が最初から最後まですべてを担っていました。
問診を聞き、検査を指示し、説明を行い、書類を書く。
一人の医師が全ての業務をこなしていた時代です。
しかし今の医療現場では、
限られた時間と人手の中で
安全で丁寧な医療を提供することが求められています。
このため近年では、
「タスクシフト」という考え方が進められています。
タスクシフトとは、
医師以外のスタッフでも対応できる業務を分担し、
医師が本来の診療に集中できるようにする仕組みのことです。
たとえば、事前のWEB問診で患者様の症状を伺い、
その内容をもとに医師が診療方針を立てます。
検査の準備や説明は看護師が担当し、
必要な場合に医師が詳しく補足を行います。
この仕組みは「手抜き」ではなく、
「チームで行う医療」の形です。
医師がすべてを行えば、
一人あたりの診察時間は長くなり、待ち時間が増えます。
結果的に、体調が悪い中で長時間お待たせすることになってしまいます。
一方で、スタッフが連携して分担することで、
診察までの流れがスムーズになり、
医師も診断・判断・説明に集中できます。
つまり、
「医師の時間を患者さんに還元する」ための工夫なのです。
そしてもうひとつ、
最近よく耳にするご意見があります。
「先生がずっとパソコンばかり見ている」というお声です。
確かに、電子カルテ入力に追われていると、
どうしても画面に向かう時間が長くなり、
患者様と目を合わせる時間が減ってしまいます。
私自身も決して入力が早いほうではありません。
そのためWEB問診やAIを活用することで、
診察中の入力負担を減らし、
できるだけ患者様のお顔を見ながらお話しできるよう努めています。
こうした仕組みは、
「効率化のための省略」ではなく、
「人と向き合う時間を取り戻すための工夫」なのです。
私たちは業務改善のため、
2か月に1回、事務職も看護職も医師も含めた
全職員参加の院内ミーティングを行っています。
この取り組みを始めてから約2年。
以前はなかなか進まなかった業務も、
今では各職種が意見を出し合い、
良いアイデアはすぐに実践する場となっています。
私が指示を出すのではなく、
スタッフ一人ひとりが考え、協力し合うことで、
医院全体の連携が大きく深まりました。
この結果、職員間の信頼関係が強まり、
チームとしての動きがとてもスムーズになっています。
開業してから15年になりますが、
今が一番スタッフとの距離が近く、
最も信頼しながら仕事ができていると感じます。
このような信頼関係の構築は、
医院全体の信頼にもつながり、
スタッフ全員が安心して患者様に向き合える大切な基盤です。
また、当院では患者様アンケートも定期的に実施し、
小さな不満や改善点を常に見逃さないよう努めています。
医療の現場では、
一人ひとりの患者様に丁寧に向き合いながら、
できる限り待ち時間を短くすることが大きな課題です。
WEB問診やスタッフの分担、
そして職員同士の信頼関係は、
そのバランスを保つための大切な柱です。
医師が「さぼっている」のではなく、
「より多くの方を安全に支える」ために、
チームとして取り組んでいるのです。
医師一人では限界がありますが、
チームで力を合わせれば、より良い医療ができます。
これからも吉岡医院は、
安心して受診していただける体制づくりに努めてまいります。
また当院に通院いただいている患者様には、
いつも円滑な診療にご理解、ご協力いただき、
本当に感謝しております。
吉岡医院 吉岡幹博